「こども誰でも通園制度」試行スタート 広島市ではわずか12%の保育園のみ 新たな子どもの受け入れに地域差
保育の質が維持できるかどうかが問題
比治山短期大学幼児教育科・七木田方美教授: 保育者のことが、もっとも後回しになっているのが気になります。保育園は、子どもを預かるだけの託児所ではありません。子守りではなく、養護と教育が一体となって展開される「子どもの自己実現」の場。「こども誰でも通園制度」が始まると、新しく来た子どもたちに、どうしても保育者の手が取られてしまい、園児にとっては、毎日来ている僕たち私たちが置き去りにされる気持ちになるのでは。保育者が毎日積み重ねてきた在園児一人ひとりに合わせた保育が、一時的に崩れてしまうので、本当に「こどもまんなか」になっているかちゃんと考えないといけないと思います。 石井記者: 七木田教授の指摘は、新しく入る子どもは、在園児とは別の部屋で保育ができるとか、保育士に余裕があるといった環境が整えばいいが、それができない現状では、さまざまな問題があるのでは…という意見です。
地域コミュニティ全体で育児という考え方も
石井記者: また海外では、地域で協力して、子どもを育てる仕組みが整っている場所もある。ニュージーランドの「プレイセンター」は、保育園とは別に地域で公的予算を使って親が運営し、親子で訪れ交流する場で、ここでできた人間関係の中で余裕があれば、ちょっと預けてお互いに助け合うこともできる。七木田教授も実際に利用したことがあるそうだ。 コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん: 実際に保育園などで子どもを育てた経験があるシニア層の方の力を借りたり、外国人の住民の方でも参加できる、ボランティアベースとか、新しい仕組みが出来ていくと面白いと思います。 石井記者: 「こども誰でも通園制度」は今はあくまで試行期間で、正式には2026年度から全国でスタートの予定。この試行期間中にさまざまな議論を重ねて、課題を浮き彫りにし、制度の改善に役立てることが必要だ。 (テレビ新広島)
テレビ新広島