アイドル姫乃樹リカは大人の歌手になった 活動再開した今
「アイドルは明るく元気な歌」という世間の先入観が壁に
川瀬 歌が上手いから2作目のシングル『ときめいて』でもうバラードにしちゃったんです。宮崎美子さんが有線で曲を聴きラジオか雑誌で「すごく良い曲」と紹介してくれて、わかってくれる人はいるんだって思いました。でも当時のオーディエンスには「アイドルは明るく元気な歌を歌うもんだ」って先入観があったんです。 - それは本格派の歌手として展開するには厄介な壁でしたね 川瀬 たかが可愛い子が「何歌ってんの」って雰囲気だったんですよ。それでまだ年齢が曲に追いついていないのかな?と悩んだ時期があって、アイドルからあまり外れない部分で、ぎりぎりテクニック的に難しい歌にトライしたりを繰り返しました。 - 姫乃樹さんはジレンマに悩んでおられた? 24歳で歌手活動を休止して語学留学でアメリカへ行かれましたね 姫乃樹 「姫乃樹リカ」はとにかく一生懸命なアイドル歌手で、私自身は悩んでいる意識はなくて。でも今当時のビデオを見るとトークの声も高めでアイドルらしいしゃべり方をしている。それも自分ですが、アイドルブームも落ち着いて芸能界にひと段落つける前には『THE COMING SOON!』というユニットで音楽活動をしていました。今回のマキシシングルも当時のメンバーと一緒にやっています。24歳の頃アメリカへ渡ったときも仕事を辞める意図はなく、単純に英語を学びたくて事務所に申し出たら「いいんじゃないの」って。あのとき「契約があるからダメだよ」なんて言われたらそのまま日本にいたかもしれません。
2019年から活動再開 音楽に年齢が追いついた
- その後、ご結婚されてそのままアメリカに住むようになって。2019年に活動を再開した動機はなんだったんでしょう 姫乃樹 久しぶりに帰国することになってスタッフや元メンバーに声をかけたんです。みんなで食事でもしようかな、ぐらいの気持ちでしたが、それがきっかけでライブをやる話に発展して川瀬プロデューサーも「いいんじゃない」って。 川瀬 小さなところでやろうよと250人ぐらいのキャパシティのライブハウスでやったのですが3日でソールドアウト。お客様も当時応援してくれていた方々が集まってくださり20数曲のフルセットのライブをやったんです。その反響を受けて「また新しいものを作りたいね」と。直後にコロナ禍となりましたがリモートなども駆使して姫乃樹リカ音楽活動再開といったところに来たわけです。 - とうとうやっている音楽に年齢が追いついたわけですね 姫乃樹 いや追い越しちゃったかも(笑)。ファンの方々を見ていると白髪の方もいるしありがたいです。でも昔ファンではなかった人たちが今私が歌う曲を聴いたときにどう感じるのか?何が伝えられるのか?それも新しいチャレンジだと思っていて、声なのか歌詞なのか心地の良いメロディーなのか? わからないけれども、何か一つ伝えられれば良いなっていう気持ちです。 (写真と文:志和浩司) ■姫乃樹リカ(ひめのぎ・りか) 1971年10月6日大分県出身。1982年、12歳の時『東西対抗ちびっこ歌まね大賞』(テレビ東京)に出場したのを機に芸能界入り。86年、雑誌『Momoco』(学研)に登場、同年10月からは番組『モモコクラブ』(TBS系)にレギュラー出演。88年、アニメ映画『めぞん一刻 完結篇』の主題歌「硝子のキッス」でキティレコードより歌手デビュー。以後、アイドル歌手としてキャリアを築く。 92年3月に芸名を西邑理香(にしむら りか)に改名し翌93年にユニット・西邑理香 with COMING SOON!を結成。その後音楽活動を休止し24歳で語学留学のため渡米。95年に結婚。 2019年、川瀬泰雄氏を加え『姫乃樹リカ with THE COMING SOON!』として米国と日本を行き来しつつ音楽活動再開。 2022年9月、マキシシングルCD『MAGIC』をリリース。10月23日、東京・品川の「HUMVEE HALL」でライブを開催する。