遠距離介護の交通費問題…航空会社の割引制度利用でお得に往復【親を要介護にさせたくない】
【親を要介護にさせたくない】#26 遠距離介護には往復の交通費問題が常にのしかかる。鉄道、航空、バスなどの公共交通機関は早期購入割引があるとはいえ、介護問題は突発的に起こるのが常。すぐに出発しなければならないケースだと高い運賃しか残っていないことが多い。 柴田理恵さんSPインタビュー「親の介護はひとりで抱え込まないほうがうまくいく」 しかし、先に挙げた交通機関のうち航空だけは「介護のための割引」制度があり、たとえ当日でも空席があれば特別料金で搭乗することが可能だ。これは日本航空、全日本空輸、ソラシドエア、スターフライヤーの4社が実施し、事前に介護を必要とする人(要支援・要介護認定者)と、2親等以内の親族、配偶者の兄弟姉妹の配偶者、子の配偶者の父母を証明する書類を提出し申請すれば利用することができる。 航空会社により細かな規定に差があるが、割引が適用されるのは、原則介護を必要とする人と、介護する人の最寄り空港を結ぶ1路線に限られ、申請が認められると毎年更新をしていくことになる。気になる割引率は、前日の予約でもおおむねその日の普通運賃の30~40%ほどとなり、マイル積算率は普通運賃同様の100%。予約の変更にも対応しているため、滞在が延びても安心していられるのが強みだ。 一方、当日の運賃だけに注目すると、実は介護割引よりも安い運賃が存在する。先にあげた航空4社ならいずれも65歳以上のシニアを対象にした割引がそれにあたり、予約できる期間(数日前、あるいは当日限定)に差があるものの、最安値で利用することができる。変更不可、マイル積算50%などの条件でも構わないというシニア世代の方にありがたい割引だ。 なお、介護割引を設定していないスカイマークエアラインには、搭乗3日前まで予約が可能な「いま得」運賃、搭乗前日まで予約可能な「たす得」運賃があり、座席数限定ながら、空席があれば介護割引以上の割引で利用することが可能だ。 これらの航空運賃を上手に使いこなすには、利用できる航空会社の介護割引には全て登録することはもちろん、介護割引がなくても故郷への路線を持つ航空会社の割引について事前に把握しておくこと。いざというときはすぐにチェックできるようスマホやパソコンにブックマークしておくことを強くお勧めしたい。 (西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)