「ジル サンダー」はカオスをノスタルジックに描く 「オニツカタイガー」から黄色が消えた!? 2025年春夏ミラノコレVol.2
「ブルネロ クチネリ」で感じる
リアル尊重主義は広がるか?
「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は、「エコーズ・オブ・ア・ジャーニー(Echos of a Journey)」をテーマに、マリンとサファリという2つのスタイルを提案しました。ネイビーにオックスフォードブルー、差し色はレッドのマリンと、サンドやベージュなどのニュートラルカラーに深いブラウンを差したサファリ。最近は都会的でスマートなスタイルが印象的だったけれど、今回はマリンとサファリの特徴的なスタイルをかなり積極的に活用していたようです。
この辺りから、今シーズンのテーマになりそうな「リアリティ」の片鱗を感じるようになりました。デジタルに依存せず、あくまでリアルに体感したことを重んじる。そんな姿勢が、麦わら帽子にピュアホワイトのジャケット&ワイドパンツ、それにマリンボーダーのスタイルや、カットアウトしたトレンチコートにゼブラ模様のワンピースというサファリルックに現れていたように思います。手作業のマクラメを多用するなど、クリエイションにおいてもリアル主義ですね。
木村:2日目のラストショーは、「エトロ(ETRO)」。会場中央には多肉植物アガベの巨大なオブジェが。マルコ・デ・ヴィンチェンツォ(MARCO DE VINCENZO)=クリエイティブ・ディレクターは、「エトロ」の歴史をいろんな土地の文化とシンクロさせるのがお好き。今回は南米に旅をしたようです。
素材オタクのマルコはやっぱり服でストーリーを描くのが上手。例えば、太陽のように鮮やかなオレンジ色のボマージャケットとスカートセットアップは、形や透明度のことなる複数の種類のスパンコールを散りばめることで色だけに頼らず揺れる光を繊細に表現しています。裾がアシンメトリーなフリルスカートも、フリル部分の生地を複雑に繋げることでマーメイドの尾鰭のような揺れを再現します。