「怖かった」「度胸があれば」 箱根駅伝、四つ巴シード権争いで明暗
10位以内に与えられるシード権をめぐり、「四つ巴(どもえ)」の激戦が最終10区で繰り広げられた。 【写真】「日本人では見ないタイプ」という駒大・佐藤圭汰。驚く恩師が考えた特訓がある 9区終了時点で8位東洋大、9位帝京大、10位順大の3チームが11秒差の中にひしめき、11位の東京国際大が順大を21秒差で追う。10区の中盤、この4チームで8位集団が形成された。 ペースを上げたり、時には下げたりと互いに駆け引きする場面もあり、「いつ(スパートが)来るんだろうと緊張していた」と帝京大の小林咲冴(1年)。ラスト1キロを切った直後、東京国際大の大村良紀(3年)が仕掛けた猛スパートがスピード勝負の号砲となり、順大の古川達也(2年)が出遅れた。 8位の東京国際大から10位の帝京大までは3秒差。昨年10月の予選会を1秒差で突破した順大はこの日、7秒差に泣いた。古川は目を赤くして、「スピードには自信がなかった。余力があるときに仕掛ける度胸があれば……」と声を絞り出す。 9位の東洋大は20年連続でシード権を獲得した。主力の4年生が大会直前に故障し、往路は4人を当日に変更しながら、乗り切った。集団での探り合いに、薄根大河(2年)は「ずっと怖かった」と吐露。笑顔の酒井俊幸監督に「よく頑張ったな」と肩をたたかれると、こらえていた涙があふれ出た。(室田賢)
朝日新聞社