「もう復路優勝しかない」箱根駅伝“失意の往路4位”から駒澤大が青学大の完全優勝を阻止できたわけ…「ただでは転ばない」決意で得た“収穫”
「復路で優勝する」 復路の途中、駒澤大・藤田敦史監督は、そう心に決めた。 往路は4位に終わり、収穫と誤算の重なる5区間だった。 【写真】「これが怪物…!」復活のスーパーエース、駒澤大・佐藤圭汰が高校後輩の中央大・岡田開成を抜き去る瞬間から、駒澤大の復路全メンバーの激走を独自写真で見る 1区で帰山侑大(3年)が区間2位で好スタートを切った。だが、スピードがある篠原倖太朗(4年)をタフな坂が連続する2区に起用しなければならない選手事情に加え、5区では期待の山川拓馬(3年)が区間新を出した若林宏樹(青学大4年)に1分44秒の差をつけられ、区間4位に終わった。
山川が期待通りだったら…
「山川のところでなぁ」 藤田監督のうめき声のような失意が何度も口からこぼれたが、それは山川への期待が大きく、戦略上の肝になっていたということでもある。タラレバになるが、もし5区で山川が設定タイム通り69分台で走れていれば、前を走る青学大に相当のプレッシャーをかけることができただろう。復路は6区で伊藤蒼唯(3年)、7区に佐藤圭汰(3年)と主力メンバーが入り、2分差であればこの2区間で借金をチャラにすることが十分に可能だと読んでいた。 だが、往路優勝した青学大との3分16秒の差は、現実にはかなり困難なものだった。そんな時、佐藤ら復路のメンバーの走りを見た藤田監督の心に浮かんだのが、ある目標だった。
監督がグループLINEに流した目標
「大八木(弘明・現総監督)も監督2年目の時(第73回大会)に復路優勝しているんです。私も今回、監督2年目でそれを意識したのもありますが、ただ青学さんにやられるのではなく、何かを残していかないと次に繋がらないんですよ。今回の箱根でやれることは、もう復路優勝しかなかった。それで絶対に復路を獲りにいくぞって言ったんです」 復路優勝が現実的に見えてきたのは、9区が終わった頃だった。佐藤が7区で区間新の走りを見せ、青学大との差を1分40秒まで縮めたが、その後は距離がなかなか詰まらなかった。しかし9区のタイムを見ると、10区の小山(翔也・2年)が1時間9分39秒以内でゴールすれば、復路の全体記録を更新できる。それをグループLINEに流した。 ただ、トップを行く青学大のアンカーが1時間8分44秒で行くと同じように復路記録を更新してしまうので、青学大の情報も集めながらレースを見ていた。 「逆転は難しいですけど、駒澤大として最後に意地を見せないといけない。出雲も全日本もそうでしたが、優勝できずとも意地を見せ続けることで、チームが強くなっていくんです。駒澤大は、そういうチームじゃなきゃいけないんですよ」
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