「膀胱全摘を決意できず、2年間遠回りした」小倉智昭が自身のがん経験を赤裸々に発信する理由
「男性トイレにもサニタリーボックスを設置してほしい」排尿や尿漏れで苦労することも
ーー膀胱を全摘したあとは、どのようなことが大変でしたか? 小倉智昭: 膀胱を全摘したあとは、腸や尿管を直接お腹の外に出して排泄を管理する「ストーマ」か、小腸を60cm程切ってつなげて膀胱の代わりにする「回腸新膀胱(代用膀胱)」を選ぶことになります。僕はゴルフに行って、皆さんとお風呂に入ることもあるので、表面的に見てわからないよう、代用膀胱を選択したんです。 小腸で作った膀胱には、最初50ccほどしか尿を溜めることができなかったのですが、だんだんと伸びてきて、今では400cc~500ccほど溜めることができるようになりました。ただ、小腸は神経が通っていないので尿意を感じません。コントロールができないので、椅子から立ち上がる瞬間にドバッと出たり、ゴルフでショットする度に出てしまったり。常に尿漏れパッドはしているのですが、何度も替えないといけないので大変です。排尿の時も骨盤底筋や腹筋を使うので、最初の頃は大変苦労しましたね。初めの頃はまだ膀胱が小さく、1時間に1回はトイレに行かないといけない状態だったので、「とくダネ!」の時も天気予報を放送している間にトイレに行かせてもらっていました。 ーーそんな状況の中で、特に不便を感じるのはどんなことですか? 小倉智昭: やっぱり尿漏れパッドの処理ですね。女性トイレの個室にあるサニタリーボックスのようなものを、男性トイレにも設置してほしいんです。濡れたパッドは重さもありますし、袋に入れて持ち歩くのも大変なんですね。出張先のホテルでも、部屋にあるサニタリーボックスは小さいので、ビニール袋に入れてしっかり縛って「すみませんが、燃えるゴミで処理してください」と書いたメモと1000円札を置いたりしています。 僕が発信を続ける中で、男性も使えるサニタリーボックスを公共施設に設置してくれるケースが少しずつ増えている一方、当然反対する方もいます。「清掃の人が大変だ」とか「一部の人のために予算をかけるのはどうなのか」という声も理解できるのですが、やっぱり持ち帰るのは大変ですね。