北米港湾で労使交渉が長期化。カナダでは両岸封鎖で政府が介入
北米港湾で労使交渉が長期化している。米国東岸港湾労働組合ILA(国際港湾労働者協会)は12日、基本協約(マスターコントラクト)に関する交渉を中止したと発表した。今週4日間の集中協議が予定されていたが、わずか2日で決裂した格好。ILAは経営側が半自動化技術を導入する意向を示したことが要因としている。カナダでは東西両岸でロックアウト(職場封鎖)などが実施され、主要港の機能が一時停止。政府が介入する事態となっている。
ILAは13日、「効率の向上につながる『近代化』は支持する。しかし、『自動化』は雇用を奪い、伝統的な業務機能を侵食する」として、半自動化も含めて議題に乗せないとしていた使用者団体USMX(米国海運連合)の姿勢を非難した。
対するUSMXは「多くの問題で前向きな進展があったが、技術的問題に焦点を当てた協議では大きな進展を得られなかった。残念ながら、ILAは、一部の港湾で20年近く存続している技術の将来的な使用を制限することで、産業を後退させるような協定を主張している」とコメントしている。
技術的問題の具体的な内容は労使双方明らかにしていないが、海外報道ではバージニア州などで既に導入済みのRMG(レールマウンテッドガントリークレーン)が争点になっていると指摘している。
米国東岸港湾労使の基本協約は9月末に期限切れを迎え、ILAは10月1日からストライキを実施した。その後、両者は6年間で賃金62%増という条件で暫定合意。ストライキは3日で終了し、既存協約を2025年1月15日まで延長し、残る課題を議論する形となった。交渉再開から短期間での決裂となったが、関係者の間では「組合側が強硬姿勢を演じているだけで、また近日中に再開される」と、楽観視する向きもある。
カナダでは、同国最大のコンテナ港バンクーバー港など西岸ブリティッシュコロンビア州の港湾で、職長(フォアマン)が属するILWUカナダ第514支部が4日からストライキに突入し、使用者団体BCMEAが対抗措置としてロックアウトを同日実施。さらに東岸モントリオール港でも労使交渉がまとまらず、使用者団体MEAが10日からロックアウトを実施した。