東京五輪のTV視聴率で日米格差…米NBCは前大会に比べ42%減の衝撃的数字で今後の五輪の在り方に岐路?!
FOXニュースも「NBCの東京五輪視聴率は『大こけ』」との見出しを取り、今大会の視聴率が過去最低に終わったことを報じた。同メディアによると、アウトキックメディアのコラムニスト、ボビー・ブラック氏は、「スポーツは情熱とファンの世界によって成り立っているが、アスリートたちが政治的になっていることも影響し、米国の視聴者たちは、五輪を通して、もはや、こうした感情を共有できていない」と、視聴率の低調理由を分析した。 またベバクア会長の「この18カ月は一筋縄ではいかなかった」というコメントを紹介。 「多くの有名アスリートたちが新型コロナウイルスの検査で陽性となり参加を辞退しなければならなかった」と指摘し、「視聴オプションの組み分けを見定める難しさ、ストリーミングサービスの拡大による視聴者の戸惑い、ネットニュースの速報や、ソーシャルメディアで情報が出ることを防ぐことのできない時代で、主要競技を録画放送せざるを得なかった時差の問題などの要素に不満が見られた」と低視聴率理由を分析した。 フォーブス誌は、「主要放送時間での東京五輪の視聴者数は2012年ロンドン五輪のおよそ半数だった。会場での大会観戦を禁止した世界的なパンデミックの困難に加え、NBCは新たに立ち上げられたストリーミング会社の多くとの競争にも直面した」との分析結果を掲載している。NBC以外でもネット中継で観戦できた状況も低視聴率に拍車をかけたという分析結果だ。 またニュースサイトのアクシオスは「東京五輪の低視聴率は、時差の問題や説得力のある存在の欠如、パンデミックといった要因が複数影響したようだが、長期的にテレビが抱えている問題が影響したことも疑いはない」との見解を伝えた。米国のテレビ所持者の80%以上が、インターネットのテレビ接続を行っており、ストリーミングが普及していること、五輪アスリートたちの社会正義に対するスタンスで米国が激しく二分されていること、若い世代がTikTokなどのソーシャルメディアを通じて五輪大会を追っていることなどを指摘。また五輪視聴率は、年々、落ち込んできており、パンデミックで、他の主要スポーツや各表彰式イベントなどのテレビ視聴者数が落ちていることも紹介した。 NBCはIOCと2032年大会までの長期契約を結んでいる。もし2024年のパリ五輪、2028年のロス五輪でも視聴率の低下に歯止めがきかなければ、次回の更新を巡っては、放映権料も含めて再検討されることは必至。米メディアにトーマス・バッハ会長が、「ぼったくり男爵」とされたIOCの運営の根幹となっているテレビ放映権料が揺らげば、今後の五輪運営の在り方を問われることになるだろう。東京五輪の組織委員会の武藤事務総長は、大会総括で「コンパクト五輪」の限界や、複数国や地域による共催などの可能性を示唆していたが、異例ずくめの東京五輪が、五輪そのものが岐路に立っていることを示したのかもしれない。