万博建築現場の熱中症対策最前線、凍らせて飲むポカリ配布やドローン活用したリスク回避策を実施/竹中工務店
〈「熱中症に対して作業員の意識が変わることが肝」河井総括作業所長〉
竹中工務店の総括作業所長の河井辰巳さんは、作業所での熱中症対策について次のように語る。 「大阪・関西万博のコンセプトが“未来社会の実験場”ということなので、我々の作業所も未来社会の実験場ということを意識しています。そういった中で将来につながる技術を生み出したり、活用しようとする一環で、いろいろな熱中症対策をはじめ、デジタル化あるいは機械化で工事を進めています。特に、熱中症については朝ごはんを食べるとか、水分を十分に補給するとか、朝礼後に大塚製薬のポカリスエット アイススラリーを活用するなど、ちゃんと体をケアするということがベースになります」 「その上で、作業員の意識をどうやって変えていくかが一つの課題です。今の日本の異常な気象状況に応じた働き方にしなくてはならないと思います。対策としては、一つは作業時間を前倒しにすることです。朝など涼しくて作業がしやすい時間帯を十分に使って作業することと、集中力が切れやすく疲労の出る15時以降は作業を切り上げるような対策を今年から取り組んでいます。その際に、どんな危険な状況で作業しているかをドローンやデジタルの技術を使って数字で見える化するようにしました」 「これにより、“暑いから気をつけましょう”ではなく、外の温度が40℃近い環境だということなどが具体的な数字でわかるようになります。それらのデジタルツールなどを活用し、作業員自身の熱中症への意識が変わることを一番の肝として作業を進めていきたいです。将来もこのような高い気温の続くことがニューノーマルな社会になると思いますので、この状況でも作業がちゃんとできるということを、この現場で少しでも実証したいと思っています」。 建設現場での熱中症対策のポイントは、作業員自身の意識を高めていくことだという。気温が年々高まる日本での夏場の工事は、今後よりいっそう過酷な現場になりそうだ。インフラ整備や工期の調整などによる安全な職場づくりとともに、今後は「ポカリスエット」など熱中症対策飲料のこまめな摂取の呼びかけやデジタル機器の活用などにより、作業する人たちの意識をよりいっそう高める活動が重要になりそうだ。
食品産業新聞社