鈴木えみが性教育を発信する思い。被害者も加害者も生まない社会を #性のギモン
性教育という言葉が要らなくなる世界へ
── 現在の取り組み、これからどのように展開させていきますか。 性教育はもちろん、子育てで向き合わないといけない課題って、本当にたくさんありますよね。だから、性教育というテーマをメインにしつつ、ゆくゆくはファミリーで楽しめるフェスのようなものに発展させていくのも面白いかなと考えています。アーティストを招いたワークショップや、パパ向け、あるいはパートナー同士で参加するトークイベントなど。いろいろなコンテンツをタイムテーブルに組み込んでいくと楽しそうですよね。 現状では、アートに触れたいときは美術館に、運動したいときは公園やジムに行けばいい。じゃあ性教育を学びたいときは?となると、アクセスできる情報も場所も圧倒的に少ないと思うんです。だからこそ、定期的にこうした場をもちたいと考えています。 何より、われわれ子連れはお出かけ先が欲しいんですよ、切実に......!(笑)。私自身、休日のたびに「子どもと楽しめるワークショップ、どこかでやってないかな」といつも検索しているんです。子どもも親も等しく満喫できる場づくりには、これからもこだわっていきたいです。 ── より多くの人に届けていくとなると、そのための仕組みも必要となりますね。 そうですね。今後は、例えば賛同してくれるアンバサダー的な方たちを増やせたらとも考えています。このイベントのフォーマットをコピーしてもらうなどして、複数の地域でこうした場を開催していくことが大事だと思います。 また、公教育の授業で使える教材を作るというのもやってみたいですね。やはり学校という場所で、月曜日から金曜日まで一緒に過ごす仲間同士が、お互いの性やジェンダーについて一緒に勉強するというのは、すごく意義のあることだと思う。その実現に向けてできることを探っていきたいです。
── 今の取り組みの先に、思い描く理想の未来とは? 私たちの世代はそうではなかったからこそ、ちゃんと性について教わった子どもたちが成長をして、さらにまたその子どもたちにきちんと伝えていく。その循環をつくっていけたら理想的です。 この先、性教育がもっと当たり前になっていけば、100年後には「性教育」という言葉自体、なくなっているかもしれません。昔はわざわざそんな言葉を使っていたなあ、といわれるような時代がやってくるかもしれない。 これって「多様性」という言葉だって同じだと思っていて。人それぞれ多様であることが当たり前なのに、わざわざ多様性を意識しないといけない時代というのは、何だかなと思ってしまう。 性教育とは、本来特別なことでも何でもなく、自分や他者を知って尊重し合う生き方を学ぶこと。誰もがそれを当たり前のものとして身につけられれば、性というテーマに限らず、この世界は誰にとっても生きやすい場所になると思います。