はらわたが煮えくり返る思いだった…「保険料が高すぎる」とこぼした筆者に医師が言った"信じられない言葉"
■国保には「傷病手当金」も「出産手当金」もない ウの所得区分にいる私個人の考えとしては、民間の保険はあまり必要ないと思っている。実際1カ月4000円程度の掛け金の保険にしか加入していない。医師に取材していても、高額療養費の制度が日本の医療費をおし上げ、皆保険制度の危機を招いているという意見が多いが、反面、一般の国民にとってはこれがあるから「過度な備えは必要ない」といえるだろう。 このように給付サービスを見ていると、国保がずいぶん充実しているように感じるが、ほかの組合健保や協会けんぽなどにもこれらはある。悲しいことに、他の公的医療保険が国保より優れた給付サービスはあっても、国保のほうが優れているサービスはひとつもない。 他の公的医療保険にはあって国保にはない代表格は「傷病手当金」と「出産手当金」だ。 健康保険組合や共済組合、協会けんぽに加入する人は、病気や怪我で仕事を休んだ時に生活保障として公的医療保険制度から「傷病手当金」を受け取れるが、国保加入者にはそういった手当はない。 「ところが新型コロナウイルス感染症による休業については、緊急的に支給した自治体があります。ですから今後、新型コロナのみならずそういった傷病手当を国保にも恒常化してほしいですね」と長友氏。 またもうひとつ、出産にかかる費用にあてる出産育児一時金は国保にもあるが、出産のために仕事を休んだ時の「出産手当金」が国保にはないのだ。長友氏がため息をつく。 「出産のため仕事を休み、給与の支払いがない間に一定の範囲で支給される補助金ですが、こちらも健康保険組合、共済組合、協会けんぽに加入していなければ対象とならないのです。少子化対策といいながら、産む時の手当さえないのが国保の現状です」 ---------- 笹井 恵里子(ささい・えりこ) ジャーナリスト 1978年生まれ。本名・梨本恵里子「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、プレジデントオンラインでの人気連載「こんな家に住んでいると人は死にます」に加筆した『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』(中公新書ラクレ)、『老けない最強食』(文春新書)など。新著に『国民健康保険料が高すぎる! 保険料を下げる10のこと』(中公新書ラクレ)がある。 ----------
ジャーナリスト 笹井 恵里子