これからの未来、本当に年金だけで暮らせる?老後に必要な資金の現実と対策
老後の生活費について、誰もが一度は「年金だけで大丈夫だろうか」と考えたことがあるでしょう。厚生労働省や総務省のデータを見ると、年金だけで十分に生活を送るのは難しい現実が浮かび上がります。 本記事では、具体的なデータを基に老後の必要資金を考え、安心した老後を迎えるための対策について紹介します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
年金の受給額はどのくらい?収入の現実
厚生労働省が発表した令和4年度のデータによると、国民年金の平均受給月額は5万6316円(男性5万8798円、女性5万4426円)であり、厚生年金(第1号被保険者)の平均受給月額は14万3973円(男性16万3875円、女性10万4878円)です。 夫婦で厚生年金を受給している場合は合計で26万8000円程度の収入が、夫婦で国民年金のみの場合は11万3000円程度となるため、年金収入と一口にいってもかなりの差があることが分かります。単身高齢者や国民年金のみの受給者にとっては、毎月の生活費を賄うには不十分でしょう。
老後資金に必要な費用はどのくらい?生活費の現実
総務省の「2023年家計調査報告書」によれば、65歳以上の夫婦無職世帯の平均消費支出は月25万959円、単身無職世帯では月14万5430円です。表1では、それぞれの世帯の支出額と年金受給額を比較しました。(1000円以下切り捨てで計算) 表1
出典:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成 老後の生活が長いほど、生活費の不足額は大きくなります。例えば「夫婦2人とも国民年金受給者」で、老後生活が20年続くと仮定すると、最終的には約3288万円の不足額が発生する計算になります。この不足額は、貯蓄や投資などの資産運用で補う必要があるでしょう。 医療費や介護費用、住宅の修繕費といった突発的な出費も考慮しなければなりません。これらの費用は予測が難しいため、老後に備えて十分な資金を備えておくことが重要です。
老後資金の不足に備えるための具体的な対策
ここでは、老後資金の不安に備えるための対策を3つ紹介します。 ■家計の見直しで無駄を減らす 最初に取り組みやすいのは、家計の見直しです。特に固定費である家賃や保険料、通信費などを見直すだけでも大きな節約効果が期待できます。また、流動費である食費の見直しも、将来の支出を抑えるのに有効的な方法の一つです。食費が現在の家計で支出の25%(食費の適正水準)を超えている場合は、見直しを検討してみましょう。 ■資産運用と税制措置を活用する 近年、個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)のような税制優遇措置が注目されています。これらを活用することで、老後資金の効率的な積み立てが可能です。 例えば、NISAを月々2万円積み立てる場合、年利3%で運用すれば20年後には約657万円の資産を築くことができます。これらの対策を早い段階から実践することで、老後の不安を軽減し、安心した生活を送ることができるでしょう。 ■年金以外の収入を増やす 年金以外の収入を増やすことも重要です。個人年金保険や企業年金、退職金を活用するほか、趣味や特技を生かした副業なども検討しておきましょう。 例えば、個人年金保険である終身年金保険を活用すれば、健康で長生きするための生活費にあてられるため、検討する価値があります。また、リタイア後も副業などで働き続けることは、収入の維持だけでなく社会とのつながりを保つためにも有効です。
未来の安心のために、今できることから始めよう
年金だけで老後を暮らすのは厳しいのが現状です。しかし、家計の見直しや年金以外の収入源の確保、資産運用の活用などを早めに始めることで、不安を和らげることはできます。小さな工夫でも積み重なれば大きな成果につながります。未来の安心のために、今できることから始めてみましょう。 出典 厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 総務省 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要 金融庁 つみたてシミュレーター 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部