“無観客の都知事選” 17日間を振り返る
11年前は、国政の政権交代ブームの煽りで都議会民主が54議席と大勝、7年前は、逆に政権を追われた民主に代わって自民が大勝(59議席)。そして3年前、自民公認を得られなかった小池の怨念をエネルギーに闘った小池新党(都民ファ)が大勝(55議席)。都議会は都議選の結果、4年毎に第1党が大きく入れ替わる傾向がある(表)。今回都知事選と同時に行われた4つの都議補選は全て自民が議席を奪還している。 こうした例からも、前回涙を呑んだ多くの自民議員は「次点バネ」が効き次の都議選は自民が最大会派に復活する可能性が高い。石原時代からの自公・知事関係を「ブラックボックス」と批判して始まった小池都政だったが、2期目に入ると石原時代同様、自公と知事が2人3脚で都政を進める旧来の路線に回帰していくのではないか。都民はそうした都政を期待して小池都政を継続させたのだろうか。 車の両輪とされる都議会と知事の緊張関係が失われていると、都政が知事独裁を許容する方向へと動きがちになる。これまで小池都政を支えてきた都議会第1党の都民ファと、今回自主投票ながら実質小池を支持した自民が都議会でどう動いていくか、小池都政の帰趨(きすう)を占う重要なポイントと言えよう。
小池“新知事”への期待
都知事には政治家、経営者、外交官という3つの役割(詳述は関連記事「『東京都知事』ってどんな仕事?」を参照)がある。選挙公約をしっかり実現する政治家、予算規模15.5兆円をハンドリングし、17万職員をリードする経営者、世界の主要都市との友好関係を築く外交官の役割をバランスよく果たせるかどうか。 再選されたとはいえ、ほとんど政策論争も改革論争も都知事の資質の吟味もないまま、無観客の都知事選挙を勝ち抜いた小池百合子。五輪特需に沸いたこれまでの都政環境と異なり、待ち受ける都政の舵取りの難易度は極めて高い。新知事の経営手腕と真価が問われることになる。