“無観客の都知事選” 17日間を振り返る
2期目の小池都政が向き合う課題
さて、コロナ禍対策を前面に打ち出した小池都政の継続が決まった訳だが、都政に横たわる課題はワンイッシューではない。争点化されなかったが、都政にはいま、多くの問題が山積している。コロナ対策や五輪延期問題に加え、東京一極集中への歯止めをかける地方分権・地方分散の国づくりを目指す。老朽化した道路や橋などの再構築を急ぐ。地下鉄や上下水道の民営化など民間でできることは民間に移す、膨張し続ける都政・都財政を大胆に見直すなど、都政本来の課題がたくさんある。 こうした生活に直結したテーマが大きな争点なのに、今回それが外れてしまった。 しかも、首都東京は都民だけの東京ではない。都道府県制度の枠に縛られがちだが、首都は国民全体のものだ。果たして都知事選でその視点も加えた議論が戦わされたかと言えばそうではない。東京のあり方について都民以外の人々や法人が議論に参加する「国民参加の都政サロン」のようなモノはつくれないか。東京一極集中の見直しを本格化するなら、そうした新たな都政のしくみも考えなければなるまい。 コロナ禍対策、東京五輪以外、再選された小池百合子都知事がこの先待ったなしに迫られる課題は3つある。1つは「老いる東京」問題、2つ目は「東京一極集中」問題、そして3つ目は「都財政破綻の危機」をどう克服するかだ。(詳述は、関連記事「都知事選、50億円を有益に 抜け落ちている『3つの論点』」を参照)
2元代表制 都議会との関係変容か
都議会と都知事の関係にも注目している。 4年前、都議会自民や自民都連をブラックボックスと敵視するなど、反対派を抵抗勢力に見立て大衆を喚起した「小泉純一郎流」の戦いで勝利した小池。その戦いは功を奏したかに見えたが、その後どうなったか。今回、自民党本部は小池支持を前提のようにし候補者を立てなかった。正確に言えば都議会自民党の内部にあった独自候補擁立論の動きを党本部が封じ込めた。この不満のエネルギーが今後の都政運営にどう出るか。 都政の決定者は都議会であり、知事は執行者である。予算も条例も主要な契約も、都議会が決める。4年前、小池氏は都議会自民系をブラックボックスとか、都議会のボスとかドンといった呼び方を流布させたが、4年を経てどうなったか。都民ファ(都民ファーストの会)・公明を与党に、知事とのアンダーテーブルでの根回しになっているように聞こえるがどうか。 3年前の都議選で都民ファを55名と大量当選させ、足場を築いたが(現在は50名)、このあと来年の都議選に向けいろいろな動きが始まろう。 新都政が始まると、来年7月の都議選を睨んで一斉に都議は動き始める。筆者の見方に過ぎないが、7月以降、都議会の自民・公明は知事選での実質的支持を理由に小池与党化の動きを強めるのではないか。自公体制への回帰で新人議員が多数を占める都民ファという会派は分解過程に入るのではないか。新人都議の多い彼ら彼女らは生き延びるために勝ち馬に乗ろうと強い政党へ加わるよう動き出すと見ている。