米国で生きる元代表戦士 小林大悟のチャレンジ魂
元日本代表の小林大悟MF(31)が、今年3月に移籍した米国メジャーリーグサッカー(MLS)のニューイングランド・レボルーションで大活躍している。第12節を終了時点で7勝3敗2分、勝ち点23。イースタンカンファレンスの1位快走を牽引している。NFLペイトリオッツと共有する本拠地マサチューセッツ州のジレットスタジアムに小林選手を訊ねた。
「試合に出ているメンバーの中では、僕とドアマンが最年長。考えてみたら、過去に最年長という経験はなかった。今までは、自分がいかにいいプレーをするかを考えていたけれど、今は冷静にチーム全体をみて、ポジショニングだったり、バランスだったりを考えながらプレーしている感覚がありますね。こっちに来て、また自分のプレーが変わったイメージがありますね」 新天地に落ち着いて約2ヶ月。31歳のベテランは、米国で更なるレベルアップを実感している。清水商業高校から01年に東京ヴェルディ入り。06年に大宮アルディージャに移籍し、ノルウェーのスターベク、ギリシャのイラクリス、清水エスパルスを経て、昨年MLSのバンクーバー・ホワイトキャップス入団。今年3月にレボルーションに移籍した。国内外のクラブを渡り歩いた末に辿り着いた現チームでは11試合中9試合に先発。ゴールこそまだないが、3アシストを決め、若い布陣を束ねるMFの役割で5連勝の立役者となった。 「私が監督に就任して最高の補強だった。プレーでの非凡さに加え、彼の人格、リーダーシップも素晴らしい。ボールの扱いが抜群で、視野が広く、ゲームが読める。彼はどこにボールを動かすべきかを心得ている。ポジショニング、起点を造り出す能力。状況を変える能力。彼のアウェアネス(気付き、洞察力)こそ我々が探していたものだ。彼が来てチームが落ち着いた。そして攻撃の幅が広がった。彼がいなかったら、この連勝はないだろう」とヒープス監督は絶賛する。 突破力ある若いFW陣を生かすMFを探していたチームに、小林は前クラブのバンクーバーから許可を得て練習参加した即日からフィットした。攻撃の核を得たチームは第7節からFWのバンブリーを下げ、19歳のファグンデスと22歳のミューリンといったスピードある若いFWを前面に押し出すフォーメーション変更を加えた。その結果、攻撃パターンが増加。5月は2試合連続で5得点を奪うなど、目に見えて得点力が向上した。 「チームは、僕のスタイルも認めてくれているし、若いヤツは、あぁ、こうやってボールを回すんだ、と僕から学んでもくれる。雰囲気はいいし、結果がついてきているから、今はとても楽しい。フィジカル的にも調子はいいです」