米国で生きる元代表戦士 小林大悟のチャレンジ魂
日本、欧州を経て辿り着いた米国のサッカーを小林はどうみているのか。オフに一時帰国した際にJリーグを観戦して「何となく90分が流れる」という印象を受けたという。「単純に比較はできないと思いますが、日本は器用で技術もあり、真面目だけれど、こっちの選手は体の使い方や戦い方が巧い。欧州からの選手も多いし、個人の能力は超高いです。体をバチバチぶつけ合うし、はっきり言ってJリーグより断然、当たりは厳しい。そうかと思えば、個人で行っちゃう部分もあって、見所がある気がしますね。この中で、どこにボールを止めるか、体をまともにぶつけないでプレーするか、自分のサッカーを整理しないと、体が持たないな(笑)と思いましたね」 ブラジルワールドカップに出場する米国代表には、MLSから10人の選手が選出された。他にコスタリカや豪州代表選手らも在籍する。シアトルやカンサスシティなどの都市では近年、野球を凌ぐ勢いで人気が上昇している。試合数が違うので単純比較できないが、1試合平均観客動員では4位のNHL、5位のNBAを抑えて、NFL、MLBに次ぐ第3位に食い込んだMLS。「リーグとして成長していて、来る選手のレベルも上がっている。あと数年でドンと飛躍するような気がしますね」と小林は米サッカー界の上昇の気運を肌で感じている。そして、「そんな時、僕が先にいて経験しているっていうのは、今後誰かが来る時にも生きると思う」とパイオニアの使命に喜びを感じているようだ。 「言葉も満足に通じない所で、自分のサッカーを整理したり、改めて色んな人に評価されたりするのは、単純に刺激的で面白いじゃないですか。ノルウェーは僕しか日本人がいなかったし、ギリシャも僕が最初。メジャーは今日本人が2人だけ。そういう中でプレーして日本人の評価も変わってきたのかなと感じる」 そんな中、ザック・ジャパンはW杯本番に備えて米国フロリダ入り。小林は日本代表をどうみているのか。人選については、「サプライズとも言われていたけど、僕は嘉人(大久保)が入って当然だと思う。技術がしっかりしているから、一人でも突破できるし、点が取れる」。組み合わせについては、「予選リーグは一般にラッキーな組と言われていますが、僕は凄く難しい組だと思う。コロンビアはいいチームだし、ギリシャは逆に読み辛い。アフリカのチームは個人の能力が高い。そこを、日本が起用なサッカーをして突破できるかだと思う」と語る。 日本代表としては06年のトリニダード・トバゴとの代表戦でキャップ1を持つ小林は、「日本人は元々器用だし、ポゼッションという意味では相当レベルは上がったと思う。あとは、組織的にチームで守れるか。守備ラインだけに限らず、全体での守備。個人の能力が高い外国人をどこまでちゃんと守れるかでしょう」と、カウンターを含めた守備を予選突破の鍵に挙げた。 (文責・一村順子/米国在住スポーツライター)