「“警察官の子供が殺人犯”と出てほしくないんや」警官の父が“隠蔽した”兵庫・岡山女児連続刺殺犯の素顔《余罪100件》
全容解明を目指すも道のりは険しく…
たつの市の殺人未遂事件も凶悪犯罪だが、県警が睨む“本丸”はもう一つの未解決事件だ。 「07年10月、加古川市で小学2年生だった鵜(うの)瀬(せ)柚(ゆず)希(き)ちゃんが何者かに刺殺された事件についても、勝田は関与を認めている。幼い命が無残に奪われたにもかかわらず犯人を逮捕することができなかった事件が重大局面を迎え、県警は威信をかけて全容解明を目指しています」(同前) だが、その道のりは想像以上に険しいという。捜査関係者の解説。 「柚希ちゃんは自宅の目の前で刺されたのに、犯行の目撃情報すらなかった。柚希ちゃんは息絶える直前に『大人の男にやられた』と救急隊員に伝えていたがそれ以上の手がかりは見つかっていない。たつの市の事件でも加古川市の事件でも、勝田は発生直後から捜査線上に浮上していた。県警は両事件で何度も勝田を任意聴取し、ポリグラフ検査(一般的に『嘘発見器』と呼ばれる生理反応検査)に何度もかけた。それでも勝田の犯行を裏付けることはできなかったのです」 当時、捜査に関わった県警OBが続ける。 「勝田は、本当に自分がやったことなら意外とすんなり『はい』と言うタイプ。その勝田をこれだけ調べて、『違う』と言うんだから違うと言うしかない」
なぜ勝田は自白したのか
ところが、今回18年の沈黙を破り、勝田は自白に転じた。だが、勝田の供述に寄りかかる捜査をすると痛い目に遭うと指摘するのは岡山県警の関係者だ。 「津山市の女児殺害事件では、勝田が『凶器を捨てた』と言った海域周辺を捜索したが何も見つからず、後から『あえて嘘の供述をした。適当に答えた』とひっくり返されるなど、勝田の情緒不安定ぶりに振り回された。結局法廷でも自白から一転して罪を否認したため最高裁までもつれ込んだ」 果たして、今回の捜査はどうなるのか。 「兵庫県警の捜査員は今年5月ごろから、刑務所に服役中の勝田の元に頻繁に通い、任意の事情聴取を重ねた。それに対して勝田は当初、たつの市と加古川市の両事件とも関与を否定していたのですが、7月ごろから認める方向に転じたようです。県警は今回、勝田を立件できるという確信をもって動いているように見える」(前出・社会部記者) なぜ勝田は自白したのか。この点を考える上で、重要な材料が2つある。1つは、16年に神戸地裁姫路支部で行われた裁判だ。勝田が少女を刃物で刺して大けがをさせたとして殺人未遂罪に問われたこの法廷で、検察は、「同じような行為による余罪は100件以上ある」と指摘。勝田は自身の生い立ちについても赤裸々に告白している。