【京都2歳S回顧】課題山積みも才能だけで勝ったエリキング クラシックの主役としての魅力あり
エリキングがラストに見せたポテンシャル
クラシックは2歳新馬開幕から1年で二冠を終える。最初の一冠皐月賞まではもう5カ月。長いようで短い春二冠までの時間のなかで、理想的な成長とはどんな形だろうか。一貫して完成度が高く、ライバルの一歩前を進むのもいい。大人びた走りはクラシックを乗り越えるにあたり、レースでのダメージを抑え、大きなアドバンテージになる。 【ジャパンカップ2024 推奨馬】能力&末脚はメンバートップ! 3つの複勝率100%データを持ち信頼度◎(SPAIA) その正反対の道もある。馬体や精神面に幼さを残し、とにかく素質だけで勝ち上がっていく。完成の域に達したとき、はたしてどんな競走馬になり、どれほど勝ち星をあげられるか。スケールの大きさと将来性を感じながら、未完成のままクラシックを戦い抜く。 真の大物はどちらかといえば、後者が多いような印象がある。とにかくスケールが抜けているが、細かい点に課題が多く残る。その成長を追いかけていくのも醍醐味だ。たとえば、コントレイルはコーナーでの重心に課題があった。このロスさえ解消されればと言われ、クラシックでは課題を着実に越え、無敗で三冠を走り切った。 京都2歳Sを勝ったエリキングも確実に才能だけで走っている。幼い気性、レースで無駄な動きをしてしまうなど、課題をあげればキリがない。それでも3戦3勝。今回もゴール前200mでフォームが決まると、ライバルたちを引き離してしまった。 スタートは少頭数、最後の枠入れだったことも幸いし改善されたが、勝負所のペースアップに反応しきれなかった。加えて京都内回りのコーナーリングが難しかったようで、4コーナーでの鞍上の手応えは、もしや伸びないかもと一瞬不安を覚えるほど。 直線半ばまでは横一線で競り合いながら、最後にエリキングがポテンシャルの一端をのぞかせると、あっという間に勝負は決した。課題山積のなかでみせるスケールの大きさこそ、クラシックの主役としての魅力だ。あの200mの走りだけなら、世代屈指の一頭と評していい。 だが、レースは最後の直線だけではない。すでに3走しており、暮れのGⅠはスキップする公算が高い。ここから先、どのレースを選ぶか分からないが、多頭数をどこかで経験させておきたい気もする。 ゲート、馬群での反応、馬群を割って進路を作る心の強さと、試さないといけない部分をあげればキリがない。それでも期待したくなるだけの将来性は間違いなし。まずは無事に。未完成のうちはレース後の疲れも溜まりやすい。未来に希望をもったまま春を迎えてほしいと願う。