「英検」を入試に利用する大学が増加 独自の試験なしで、合理化も
独自試験の代わりに英検・共テを活用
芝浦工業大学は、25年度入試から前期日程と全学統一日程で英語の独自試験を廃止し、英検と大学入学共通テストの点数を活用する選抜方式を新設します。 前期日程A方式、全学統一日程A方式は、英検のCSEスコア、または共通テストの英語の点数を独自の計算式で100点満点の評価に換算して合否判定に用いる方式で、23年度入試から後期日程でのみ実施していました。受験生は、英検と共通テストのスコアの両方を提出することも可能で、その場合は換算後の得点が高いほうを合否判定に用います。後期日程での過去2回の実施から得たデータでは、約半数の受験生が共通テストのみ、約2割が英検のみ、残り3割が共通テストと英検の両方を出願時に提出していました。 一方、前期日程B方式、全学統一日程B方式は、17年度入試から実施していた「英語資格・検定試験利用方式」を名称変更したものです。英検のほかTOEFL、IELTSなどの利用も認められており、いずれかのテストで大学が設定する基準値以上のスコアを取ることが出願資格となります。英検の基準値は、英検2級の合格ラインにあたる1980点です。
「一発勝負」を避けて、実力を評価
入試・広報連携推進部の土屋公平さんは、独自試験の廃止や新方式導入の背景を、こう説明します。 「入試に関しては、工学の素養も含む文章題など独自性のある問題を出すことも大切ですが、ベーシックな力を評価できる問題を活用したほうがいいと考えました。そのための問題を学内で作るか、外部の試験を使うかについては、実績と信頼性がある英検などのテストを利用することが、入試の合理化という意味でも、4技能を公平な基準に沿って評価できるという意味でも、最適と判断しました」 A方式で、英検や共通テストのスコアを100点満点に換算するための式(上図参照)は、募集要項で公開されているため、受験生は自身の持ち点を知ったうえで出願できます。 「受験生や保護者からは、『合格ラインはどの辺りになりそうですか』との質問をいただくことがありますが、正直やってみないとわからないところはあります。ただ、この換算式は過去の受験者の英語力など複数のデータに基づいて作成したものなので、本学が求める英語力やこれまでの合格水準から大きく外れることはないと考えています」 英語の入試について、本番での一発勝負を避けられる点は、A方式とB方式に共通していますが、出願の際は「得点換算」と「出願資格」のどちらが自分に合った方式なのかを見極める必要があります。 「A方式の場合、英検や共通テストで高いスコアを取れば換算後の得点もそのぶん高くなるため、英語を得点源にしたい受験生に有利と言えます。一方、B方式は数学の配点が200点と高く、英語は基準値以上であれば、ギリギリのスコアでも飛び抜けて高いスコアでも、評価は同じです。英語よりも数学や理科で勝負したい受験生には、B方式が好意的に受け止められているようです」