千葉県の高校入試はより学力重視へ 制度の特徴や傾向を早稲田アカデミーの高校受験部長に聞く
後期日程の廃止によって、公立上位校の入試は難化傾向
これらの「併願推薦がない私立高校」の一般入試の中心は1月17日から1月20日で、公立高校の入試は2月20日、21日です。そのため、学力の高い生徒が一般入試で調子が悪くて実力が出せなくて、すべて残念な結果になると、併願推薦で合格を取っている中堅高校に進学することになります。 もちろん、中堅高校も教育の内容は優れていますが、学力にマッチした高校でないと授業やテストが合わないし、希望する大学の対策と学校のカリキュラムに差異が出てきます。3年後の大学受験を考えても、なるべく生徒の学力に合った高校に入学すべきです。 公立難関高校を受ける生徒たちは、なるべく自身の学力に合った高校に進学すべきですから、併願の計画を緻密に考える必要があるのが千葉の特徴ですね。 2020年までは、千葉の公立高校は2回入試がありましたが、2021年以降は1回になりました。結果、公立上位高校の倍率自体は下がっていますが、不合格者は増えています。2024年度入試ですと、公立上位3校(県立千葉、県立船橋、東葛飾)の不合格者は649名、上位10校では1,708名で、昨年度と比べても68名多いのです。公立上位高校は入試が厳しくなっているため、例えば私立の合格状況を見て、公立の受験校を変えるなどの戦略が重要です。
難関公立高校は学力検査重視の傾向にある
――一方で千葉の公立受験、特に上位高校は学力重視の傾向が強いと聞きますが。 望月:東京都の都立日比谷は1,000点満点のうち300点が内申点の評価ですから、内申点が高くないとなかなか受かりません。一方、千葉では、公立高校の上位層は内申点評価の割合が低いのです。 例えば、公立の難関高・県立千葉ですと、2020年度前期入試の内申点評価は0点で、5教科500点、作文5点で、学力検査の割合が99%でした。それが2021年度の変更で、内申点67.5点、5教科500点、作文10点で学力検査の割合が86.6%、2022年度は内申点が67.5点、学力検査(5教科)が500点、「思考力を問う問題」が100点で学力検査の割合が89.9%と学力重視です。これに加えて2023年度からは、まず上位80%を合格させた後に、ボーダーラインの20%の受験生は点数の計算方法を変えて、5教科の学力検査で合否を決める制度となっています。 これは他の公立上位高校も同じ傾向で、東葛飾の2019年度は内申点135点、学力検査(5教科)500点、作文60点で学力検査占有率は71.9%と、上位高校では比較的、学力検査の率が低かったのですが、2023年度は内申点67.5点、学力検査(5教科)500点、「思考力を問う問題」100点で学力検査の割合が89.9%と、学力重視になっています。県立船橋は普通科が88.3%、理数科が90.0%、佐倉は面接もありますが、学力検査の率が普通で83.7%、理数が86.0%と高くなっています。また、船橋東も調査書(内申)の点数が270点から155点と下がり、同じく学力重視になっています。