千葉県の高校入試はより学力重視へ 制度の特徴や傾向を早稲田アカデミーの高校受験部長に聞く
千葉県の高校入試制度はどのようなものか。高校入試は地域によって傾向が違う。しかも入試のシステムは頻繁に変更されるので、受験生も保護者もなかなかその内容を理解することが難しい。そこで今回は、早稲田アカデミーの望月悟史 高校受験部長に、千葉県の高校入試の特徴について聞いた。 【表】全国高校「国公立大学合格力」ランキング 1位~24位
併願推薦の制度はあるものの、難関私立は非対応
――千葉県の高校入試の特徴はどんなところでしょうか。この何年間かでも変更が多いという印象がありますが。 望月:もともと千葉県の高校は、私立入試・県立入試ともに「前期日程」と「後期日程」の2回チャンスがありました。しかし、渋谷幕張の後期日程廃止を皮切りに、県内の私立高校が次々と後期日程を廃止し、2020年には県立入試も後期日程が廃止されました。 他の県ですと一般入試の前に、内申点をもとに私立の推薦入試で合格を得ておくことができます。例えば、神奈川ですと書類選考という入試があります。これは推薦と同様に、一般入試の前に内申点で合格が得られます。桐蔭学園の合格を先に得てから、一般入試で第一志望の公立や私立の高校を受験する生徒が早稲田アカデミーでも多いです。桐蔭は進学校として定評がありますから、学力上位層にとっては進学先として内容的に適切だと言えましょう。 同様に、千葉県にも併願推薦と呼ばれる、内申点を利用して合格を確保できる入試制度があります。従来であれば、前期日程と後期日程で2回チャンスがありましたが、後期日程廃止に伴い、この短い入試期間の中で、併願推薦で合格を確保するのか、あるいは一般入試に挑戦していくかの線引きが非常に難しくなりました。 千葉県内で併願推薦を実施している私立高校は、千葉日大一、国府台女子、二松学舎附属柏、千葉経済大学附属、日出学園、八千代松陰、東葉、千葉商大付属、市原中央などの中堅校です。公立中学はどこかの高校に進学させたいので、公立難関高校を受験する生徒たちにもこういった中堅校の推薦併願で合格を獲得させます。 一方で、千葉で入学難易度や大学合格実績が高い進学校――渋谷幕張、市川、日大習志野、専修大松戸、麗澤、成田、昭和学院秀英、芝浦工大柏、江戸川取手(茨城)などは併願推薦がなく、一般入試で受験をするしかありません。