遅刻のせいで高校卒業できない!? 大学受験のために「高卒認定」を検討した話
学校の単位で一部の試験が免除に
高校2年生くらいまで通学できていれば、高卒認定の合格に必要な単位をすでにある程度取得している可能性が高いです。そのため、高校から「単位修得証明書」を取り寄せることで、高卒認定の試験を一部免除することもできます。 高校3年の時点で卒業が危ぶまれても、今までに学校で修得した単位と、高卒認定の一部の教科の合格で必要条件を満たせば、同級生と同じ時期に大学受験に挑戦できる可能性があるのです。 (注・2024年度の試験の申し込み日は終了しました) また、学校長判断によりますが、高卒認定の合格単位を、高校の卒業に必要な単位として認めてくれる学校もあるそうです。「病欠などで単位が足りず卒業が危ぶまれるけど、高校は卒業したい!」など、やむを得ない事情がある場合は、出願前に学校側と相談してみてください。
あくまで大学受験資格を得るための手段
高卒認定には注意すべき点もあります。高卒認定はあくまで「大学や専門学校などを受験できる資格」を得たに過ぎず、「高校卒業」したことにはなりません。大学や専門学校の受験資格を得て最終学歴を「大学・専門学校」に上書きすることで威力を発揮するとも言えるでしょう。 現在在学している高校があるなら、高卒認定はもしものときの備えとして考え、高校卒業することを優先しましょう。通学が難しいなら通信制高校を卒業して「高卒資格」を取る方が安心な場合もあります。 私は息子と、取り寄せた書類を読みながら「どうするのが最善か?」と話し合いました。息子は、学年主任に呼び出されたのが効いたのか、「生活の改善を優先し、認定試験は受けない」という決断に至りました。退路を断つことになりましたが、受験にむけて腹をくくるキッカケになったようです。
いつでも、誰でも学びなおせる!
高卒認定は不登校の方に希望を与える制度でもあります。 冒頭でも簡単に触れましたが、私は不登校の方への取材を通して、高卒認定の存在を知りました。 小1から不登校だったけど高卒認定を受け大学へ。教員になったリホさん。 小4から不登校だったけど21歳で高卒認定に合格し、大学院まで進学したリュウくん。 高卒認定ではありませんが、不登校から31歳で高校生になり、大学で教員免許を取ったヒデさんもいます。 今は無理でも「いつでもやり直せる」のが高卒認定の良いところです。小中学校は登校せずとも自動的に卒業できますが、高校で不登校が長引くと中退せざるえないこともあります。 そんなときに「高校中退しても大学や専門学校へ進学できる」「色んな道がある」「気持ちが落ち着いてから再スタートできる」と親子で知ることは、将来への安心につながるのではないでしょうか? 不登校で悩む親御さんも多いと思いますが、今はいつでも学び直しができる時代です。子どもの心と身体が安定してきてからでも、一度社会人経験をしてからでも、学ぶことはできます。 実は私も50歳で通信大学生です。 自分が「もっと知りたい」と思って学び始めたとき、それは学校で平均より上か下かと比べられて劣等感を抱く学びとは全く違い、過去の自分を超えていけるという喜びがありました。本来の学びとは無理やりやらされるものではなく、自分の世界を広げる前向きなものです。 高卒認定は、受験費用も1万円以下。いつでも学びに再チャレンジできる高卒認定についてもっと広く知ってもらいたいなと思っています。 ※受験する人それぞれに細かい指定があり、申請すべき書類も多いので、詳しくは文部科学省のホームページを御覧いただき、受験案内を取り寄せてみてください。 (※送料、支払い手数料がかかります)
おがたちえ(漫画家)