なぜ横浜DeNA山崎康晃はプロ6年目にして牽制球を解禁したのか…阪神サンズ劇的逆転3ランの裏に壮絶心理戦
それにしてもプロ6年目にして初の牽制が、そこまで投球を狂わせるものなのだろうか。ダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルト時代にストッパー経験のある評論家の池田親興氏は、「いいボールを投げた直後のタイミングで、ピッチングを中断したことで間が乱れ、打者への集中力を欠いてしまった可能性はあるだろう」と見ている。 実は、山崎は、大山に対してツーシームで空振りをとり1-1となった3球目に外角に糸を引くようなストレートを投じていた。それがボールと判定された直後に、タイムが取られ、ベンチから木塚コーチがマウンドにやってきた。この間の悪さが問題だったと指摘する。 「山崎は牽制をしなくとも、走者と目と目を合わせることで抑え、クイックも1球、1球、早さを変えることで牽制の代わりにしてきた。それこそが山崎が過去5年間に培ってきた、間であり、リズムだったと思う。コーチのアドバイスが、”走者に注意しろ”だったのか、”牽制をしてみろ”だったのかはわからないが、結果的にしたことのない牽制をしたことで”ツーアウト。打者勝負だけ”、と考えていた山崎の集中力を乱し、投球のリズムを崩したのかもしない。それでもサンズは穴の多い打者。集中して打ち取らなければならなかっただろう。ただ、山崎は2年連続のセーブ王。ベンチは、同点の走者が二塁にいこうが、三塁にいこうが、山崎に任せて打者・大山に集中させておくべきだったのではないか」 ラミレス監督の細心の動きは裏目となって出て、約2年ぶりとなる首位奪取は、お預けとなった。山崎は広報を通じて「このような展開になりチームに申し訳ない」とコメントしている。