那須川天心に勝ったら1000万円企画にフリーボクサー中村優也が“怒りの告発”
AbemaTVが3周年企画として行う「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」に挑む2人の挑戦者を決める7人のトーナメント出場者が発表されたが、代表から漏れたフリーランスボクサーでJBC(日本ボクシングコミッション)非公認の元WBCアジアバンタム級王者、中村優也(28)が“怒りの告発”をした。 5月1日に「ボクシング経験者トーナメント」、「異種格闘技トーナメント」の2つの挑戦者決定トーナメントが行われ、それぞれ1人ずつ天心への挑戦者が決められるが、「ボクシング経験者」部門の出場者は、元WBA世界スーパーフライ級王者のテーパリット・ジョージム(30、タイ※世界王者時代はゴーキャットジムのリングネーム)、2000年の西日本新人王の村井勇希(39)、世界挑戦経験のある戎岡淳一(38)、プロ経験はないが同志社大ボクシング部出身で、現在大阪のアマチュアジム「天満橋ボクシングジム」会長の藤崎美樹(29)の4人に決まり中村の名前はなかった。また「異種格闘技」部門は3人しか発表されておらず、もう一人は後日発表の「X」として伏せられているが、ONEのライト級王者、青木真也(35)で調整中だという。選外となった中村が怒るのは、オーディションで約10キロの体重差があるテーパリットとのスパーリングを課せられ、あげくの果てになんの連絡もないまま落選となったこと。中村は、今後、総合格闘技イベント「RIZIN」など、ボクシングルールでの試合が可能なリングでの天心戦実現を訴えていく考えだという。
3次審査で課せられた10キロ差のスパーリング
「AbemaTVには、散々振り回されて、うまく利用されただけ。なんなんですかね? 気分悪いですよ」 中村は、ネットで発表された最終選考合格者の名前を見て唖然としたという。今回「ボクシング経験者」部門に選ばれた4人は、いずれも中村と同じく13日に大阪で行われたオーディションに参加したメンバーだが、運営サイドからは「落ちた」とも「受かった」とも何の連絡もないまま。横のつながりで中村は“弾かれた”こと”を知っていたというが、「始まる前は、申込書が届いていないので、もう一度送って欲しいだの、当日にリストに名前が入っていなかったけれど、大丈夫です、特別枠です、などと運営サイドがアクションを起こしてきていたのに……。なぜ落ちたかの理由も含めて報告するくらいのことができないんですかね」との不信感が残った。 中村の“怒りの告発”の核心は、そのオーディションの3次審査として行われた1ラウンドのスパーリングのマッチアップにある。59キロでオーディションに挑んだ中村は、当日、69.5キロもあった元世界王者のテーパリットと組まされたのだ。テーパリットは7年前のWBA世界スーパーフライ級王者時代に、亀田大毅、清水智信、名城信男の日本人チャレンジャー(清水は統一戦)を次々に蹴散らした実績がある。 「天心とメイウェザーの試合を見ればわかりますよね? 階級制のスポーツであるボクシングにおいて、ここまでの体重差があることは危険なんです。ボクシングのジムで10キロ差のある相手とのスパーリングなんか絶対にありえません。しかもテーパリットは元世界王者です。こんなんでほんまにやらせるん?って、正直、怖かった」 オーディション参加はノーギャラで、しかも「ケガをしても責任は個人にある」との誓約書を書かされていた。 14オンスのソフトタイプの大きいグローブとヘッドギアを着用したが、「テーパリットのパンチは重たかったですよ。ブロックしてもパワーで吹き飛ばされる感じでした」という。 1ラウンドのスパー内容は、「これだけのパワー差があれば、そりゃ勝てませんよ。負けていました」と認めるが、「なぜこういう組み合わせにされたのかわかりません。ここで僕を潰しておこうという意図があったんじゃないですか。僕の実力を見たいなら、こんな体重差でやらせないですよね。僕らはジムに所属していないフリーなんで、どれだけ無茶苦茶に扱われても、後ろ盾がなく文句は出ませんから。納得がいきません」と、中村は怒りを禁じえない。 何も不可解な落選の腹いせに不満をぶちまけたわけではない。 中村が“怒りの告発”をした理由は、これでフリーランスボクサーの挑戦を終わりにしたくないからだという。