独立リーグの茨城アストロプラネッツはなぜ2年続けてNPBドラフトで支配下指名されたのか?
打撃面ではBCリーグ2位の12本塁打、OPS.869を記録するなど長打力を持ち味とする一方、確実性の向上に改善の余地があった。バットのヘッドが遠回りする課題があり、5月頃には打率2割を切ったからだ。 そこで6月からスイング軌道を可視化する「ブラスト」をグリップエンドにつけ、改善を図った。具体的に行なったのは「オンプレーン率」の向上、つまり投球を"線"で捉えるためのスイングだ。色川GMが説明する。 「オンプレーン率が上がれば上がるほど、打球の弾道が下がることに気づきました。大友の特徴を生かすにはどういうスイングがベストかと考え、当初65%だったオンプレーン率は75%くらいがいいだろうと。そうして最終的に打率.244まで上がり、長打力を発揮することもできました」 大友はフィジカルの強化にも取り組み、体重85キロで筋肉量71.1キロ、体脂肪率12.8%に。身長181センチの「捕手では珍しい5ツールプレイヤー」としてドラフト会議を迎えた。 残念ながら支配下での指名はなかったが、前述したようにソフトバンクが育成3位で指名する。色川GMは「痛恨の極み」と語るが、育成からでもチャンスはある。まずはスタートラインに立つことができ、ここから先は本人次第だ。 「あの年齢(25歳)の選手を逆に育成で獲ってくれるという奇跡を起こしてくれ、ソフトバンクさんには感謝しかないです。これからは大友次第なので、本人が"成功"にしてくれると思います」(色川GM) ひと言で「独立リーグ」と言っても30以上の球団があり、そのカラーはさまざまだ。 そのなかでなぜ、茨城アストロプラネッツは毎年のようにドラフトで指名されているのか。その理由はNPBに「欲しい」と思ってもらえるように育成し、アプローチしているからだ。 つづく>>
中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke