甲子園を逃したドラフト逸材 出る、出ないでプロの評価は変わるのか?
8月7日に開幕する高校野球の夏の甲子園大会、49の代表出場校が出揃った。最後の最後、横浜高校の藤平尚真、履正社の寺島成輝というプロ注目の超A級評価の逸材が、揃って甲子園切符を獲得したが、その一方で予選では、添付した表のように有名無名のドラフト候補達が姿を消した。 甲子園出場を逃したピッチャーの中で最速は154キロをマークした江陵高の左腕、古谷優人だ。準々決勝の釧路工戦では、8連続を含む20奪三振を奪うなど、北のドクターKと呼ばれた。しかし、準決勝の滝川西戦で12奪三振を奪いながら1-3で敗れた。ちなみに古谷はロッテの古谷拓哉投手と親戚関係にある。 梅野雄吾(九州産業高)も古谷と同じく最速154キロをマークした九州ナンバーワン右腕。 九州には、梅野を含め、スカウト、高校野球ファンの間で“九州四天王”と呼ばれる逸材が揃っていた。福岡の浜地真澄(福岡大大濠高)も、ストレートに球威のある本格派で、宮崎の山本由伸(都城高)もストレートは、150キロを越える。鹿児島、れいめい高の太田龍も、身長190cmの大型右腕で、最速は149キロ。しかし、“九州4天王”は、誰一人として甲子園の舞台を踏むことができなかった。近年の高校野球ではスーパーエース一人だけでは勝ち抜けないのが常識になっている。 センバツでは、その恵まれた身体と、どことなく投球フォームと風貌も似ていることから北陸のダルビッシュとしてスカウトがマークしていた敦賀気比の山崎颯一郎も、福井県大会の坂井高戦で、延長15回を投げて力尽き、まさかの初戦敗退となった。 また野手にも甲子園を逃した逸材が目立つ。特に茨城の明秀学園日立高の細川成也&糸野雄星の高校通算110発コンビの評価が高い。元ヤクルトのスカウト責任者で、古田敦也らを発掘した片岡宏雄氏も、「細川、糸野は、うまくかわされ県大会の重要な場面では一発を打てていなかったが、そのパンチ力は、魅力十分。特に細川。ピッチャーとの二刀流だが、プロでは野手勝負だろう」と評価。 センバツで、三拍子揃った外野手としてスカウト評の高かった鈴木将平(静岡高)も、4回戦の浜松商戦で2安打3打点と活躍したが、チームは敗れて夏が終わった。愛工大名電の通算47本を誇る左のスラッガー、高橋優斗も、愛知県大会の決勝で東邦のドラフト候補、藤嶋健人と対決したが、2三振ノーヒットと完敗して、後1勝で涙を飲んだ。