ハイテクスニーカーブームの直前に生まれた、 コアなファンからも支持を集める NewBalance(ニューバランス)「998」の魅力とは?
「『998』が登場するまで『99X』シリーズは、ワイズが広くボテッとしたフォルムが多かったのですが、『998』では細身でスマートなシルエットとなっているのが大きな特徴でもあります。後に続く、『991』や『1700』にも使われているラストなので、他の“MADE in USA”モデルと比べてみると、そのフォルムの差は一目瞭然です。
実は最近ではオリジナルのデザインを復刻させた『MT580』にも『SL-1』のラストが採用されていたりするので、主流になりつつある傾向でもありますね。昨今ではそこまでワイズが広い人が多くないからなのかもしれません」
「SL-1」は革靴で例えるなら、“ロングノーズ”のようなもの。シュッとしたフォルムが大人感を演出するデザインでもあるが、そういったイメージを求めて「Kith(キス)」や「W-TAPS(ダブルタップス)」がコラボレーションのベースモデルとしたことも頷ける。
過去・現在・未来を見据えた「ニューバランス」の戦略
2022年からニューヨークで人気のブランド「Aimé Leon Dore(エメ レオン ドレ)」のファウンダーでもあるテディ・サンティスが、「ニューバランス」の“MADE in USA”のクリエイティブディレクターを務めていることから、今シーズンのスポットアイテムとして出てきた「998」のニューカラーも登場。国井さんはこう説明してくれた。
「今作は“クラシックネイビー”と“ニュートラルサンドストーン”という2色のカラーが展開されます。テディのこれまでのコレクションを見ると、カラーを使うときは自然からインスパイアされたネーミングを使うことが多いです。
これまでのインラインではグレー、ネイビー、ブラックが展開されていましたが、カラーパレットが変わるだけで、まったく違うモデルになったかのように印象が変わりますね。テディが作るコレクションはカラーバリエーションというより、並べたときに“対”になるような配色のものが多いので、今回も“天と地”みたいな意図があるのかもしれません。これはあくまで個人的な想像ですが……(笑)」