ハイテクスニーカーブームの直前に生まれた、 コアなファンからも支持を集める NewBalance(ニューバランス)「998」の魅力とは?
1993年に発売されたニューバランス「998」。990番台シリーズの5作目にあたる一足だが、クラシックな見た目のデザインを踏襲しながら、ランニングに適したミッドソールを採用しているところがポイントだ。 最近はドメスティックブランドとのコラボでも注目されつつある「998」の魅力を、ミタスニーカーズのクリエイティブディレクターであり、スニーカー界のご意見番でもある国井栄之さんに伺った。
「ニューバランス」ならではの“ABZORB”を初搭載
「1000点中990点の出来栄え」というインパクトのあるキャッチコピーとともに生まれた990番シリーズの5作目にあたる「998」。品番だけを見ると、990番シリーズの集大成に近い数字だが、単純に数字では語れないのが「ニューバランス」のユニークなところでもある。そんな「998」について国井さんはこう解説してくれた。
「『ニューバランス』における『99X』シリーズの5作目として登場した『998』ですが、一番の特徴は同ブランドではお馴染みのクッション素材である“ABZORB(アブゾーブ)”を初めて搭載したモデルとしても知られています」
“ABZORB”とは着地時に足が受ける衝撃を吸収すると同時に、そのエネルギーをテイクオフ時にリターンする反発弾性も備えたクッショニング素材のこと。フォアフット部に“C-CAP(シーキャップ)”、かかと部分には“ENCAP(エンキャップ)”を使用し、この3つのテクノロジーでかつてない履き心地を実現したのが「998」というわけだ。
「『998』が登場した1993年といえばハイテクスニーカーブームが始まりを迎える時期だったので、クラシックな見た目ながら、クッショニングテクノロジーはハイテクというそのハイブリッド感を体現した稀有な一足といえると思います」
従来とは違い細身のラストである「SL-1」を採用する
“ABZORB”というクッショニングテクノロジーが大きく進化したモデルでもある「998」だが、実はもうひとつ大きく変更されたことがある。それが細身のラストである「SL-1」を採用したことだ。国井さんはこう続ける。