今年のプロ野球志望者は高校・大学合わせて298人 多様化するドラフト候補の注目ポイントを解説
10月11日に開催されるプロ野球ドラフト会議。今年の有力選手や近年評価されやすい選手の傾向はどのようなものか。またコロナ禍による影響はあるのか、アマチュア野球を幅広く取材するスポーツライターの西尾典文さんに注目ポイントを聞いた。(Yahoo!ニュース Voice)
今年の有力候補選手
今年の候補選手の傾向として、昨年の佐藤輝明選手(近畿大→阪神)や早川隆久選手(早稲田大→楽天)のような分かりやすい目玉選手は不在ですが、投手には有力選手が多い印象を受けます。 特に最初の入札で1位指名の可能性が高いのは小園健太(市立和歌山)、風間球打(明桜)、森木大智(高知)、佐藤隼輔(筑波大)、隅田知一郎(西日本工大)、廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)の6人です。 それぞれ特長が異なるため序列をつけるのは難しく、球団のニーズと方針によって指名がばらけることが予想されますが、将来性を重視する球団は高校生の3人を狙うと思いますし、早くから使える投手を重視するのであれば大学生の2人と社会人の広畑選手を優先することになると思います。
プロ志望の選手はここ数年増加している
ここ数年の傾向で言うと、高校生、大学生ともにプロ志望の選手が増えています。今年プロ志望届を提出した高校生は159人、大学生は139人となっていますが、これはいずれもプロ志望選手合同練習会があるなど特殊事情だった昨年を除いて、過去10年で最多の数字となっています。 野球人口の減少やプロ野球人気がなくなっていると言われることも多いですが、コロナ禍のこの2年を除くと、観客動員は増えています。特にパ・リーグの人気、注目度は以前とは比べものにならないくらい上がっており、満遍なく12球団のファンが増えた印象を受けます。ライト層は減っているかもしれませんが、熱狂的なファンは確実に定着しているのではないでしょうか。
独立リーグなら最短1年でドラフト指名を受けられる
もうひとつ大きな影響を与えているのが独立リーグの存在です。2005年にスタートした四国アイランドリーグ、2007年にスタートしたBCリーグに加えて関西、九州などでも新たなリーグ、球団が発足しています。社会人の企業チームは最盛期と比べると半数以上に減り、NPBほどではないにしてもかなりの実績がある選手しか進めない狭き門となっています。 また大学も強豪と言われるチームは多くの部員を抱えており、選手にとって試合出場のチャンスは限られています。 大学や社会人のように決められた年数が経たないとドラフト対象にならないのに対して、独立リーグは最短1年で指名を受けることも可能です。その点をメリットと考える選手も増えているのではないでしょうか。 NPBの球団でも独立リーグの選手は無視できない存在となっており、今年も高田竜星(石川ミリオンスターズ)、長尾光(埼玉武蔵ヒートベアーズ)など高校卒1年目の選手が候補となっています。今後もこのような流れは続いていく可能性が高いでしょう。