GRカローラだけではない 水素エンジンを搭載するアルピーヌのコンセプト・カーがさらに進化
パリ・モーターショー2024に登場
アルピーヌがパリ・モーターショー2024で、水素エンジンを搭載した次世代のスポーツカーのプロトタイプである「アルペングローHy6」を発表した。2022年以来、進化を続けているコンセプト・カーの最新版だ。 【写真16枚】パリ・モーターショー2024に出展された水素エンジンを搭載する次世代スーパースポーツのコンセプト・モデル、「アルピーヌ・アルペングローHy6」の詳細画像をチェック ◆ル・マン24時間レースでデモ走行 2022年のパリ・モーターショーで、ロードカーとレースカー双方の未来を示唆するものとして登場した「アルペングロー」は、パワートレインに水素燃料エンジンを搭載するというプランが示された。2024年のル・マン24時間レースでは、水素を燃料として用いる345psの2.0リッター4気筒エンジンを搭載した進化版となる「アルペングローHy4」がデモンストレーションを実施している。 ◆V6エンジンにグレードアップ アルペングローHy6は3.5リッターV6ツインターボにグレードアップし、最高出力は750psへ大幅に引き上げられた。排気量比出力は、213ps/リッターを超える。最大トルクは770Nm/5500rpm。Hy4で270km/hだった最高速度は、330km/h以上となった。 このV6のバンク角は100度で、アルミブロックを用いるドライサンプ式ユニット。ボア×ストロークは95×82.3mmで、ピークパワーを7600rpmで発生し、最高許容回転数は9000rpmに達する。駆動系には、遠心クラッチとXトラック製6段シーケンシャル・トランスミッションを使用し、後輪を駆動する。 ◆排出した水蒸気を演出に用いる ボディ・サイズは全長×全幅×全高=5200×2100×1140mm。左右サイドポッドとコクピット後方には、700barの高圧水素タンクを計3本搭載する。エクステリアでHy4と大きく変わったのがエンジンカバーで、ブルーとホワイトの塗装が鮮やかな吸気系を車外から確認できる。 テールライトの内側には、インコネル素材の排気系に導かれた水蒸気の排出口が組み込まれる。走行時には、路面にロゴの影を映すシースルーのリア・スポイラーを曇らせ、これまでの排出ガスでは望めなかった美しい光景を演出するという。 アルペングローについては、現時点では市販化に言及されておらず、また特定のレース規定にも適合もしていない。はたして、アルピーヌ・ブランドを掲げた公道用のスーパースポーツとして登場するのか、はたまた2028年の水素燃料導入を計画する世界耐久選手権(WEC)に参戦するのか、それともその両方なのか、今後の展開が楽しみだ。 文=関耕一郎 (ENGINE WEBオリジナル)
関耕一郎