文具ブームは一段落したかのように見えるが、市場は堅調だ。今回は新ジャンルを開拓しつつある、新潮流の最新文具に注目。ヒットの理由を解き明かした。 【写真15枚】最新文具の進化がスゴい！かゆい所に手が届く機能に富んだ文具たちを写真で一気にチェック！

家庭ゴミの分別時に頼れる〝洗える〟万能ハサミ

コクヨ『洗えるハサミ＜サクサ＞（万能・水洗い対応）』コクヨ『洗えるハサミ＜サクサ＞（万能・水洗い対応）』2178円

独自設計のハイブリットアーチ刃を採用。刃先にかけて刃の角度を広げ、刃先から根本まで軽い切れ味を実現している。刃は撥水加工済みで、まるごと水洗いしても切れ味は鈍らない。

ユーザーの悩みを全部解消し売上目標比135％を突破！

　ハサミは日常生活で身近な〝切る道具〟。用途に合ったハサミを使う必要があるのだが、文具として売られているハサミで紙以外のものを切るケースは多い。そこに注目したのが『洗えるハサミ〈サクサ〉（万能・水洗い対応）』だ。 　開発を担当したGST開発本部の瀧内彩加さんは、商品化に至る経緯をこう語る。 「文具以外の市場にアプローチしたいと思っていたときに、そんなハサミの使用実態を知り、ゴミの分別やDIYなど家庭における万能選手として使える超強力なハサミができないかと考えたのがきっかけです。開発期間は約1年。難しかったのは〝超強力な切れ味〟の裏づけです」 　確証を得るために、対象物を切るときの荷重をひたすら測り、同社の既存品と比較する地道な作業を繰り返したという。 〝水洗いしたいけどサビや切れ味の低下が不安〟という悩みも多い。そこでフッ素樹脂コーティングを施した撥水加工刃を新たに開発。生活に寄り添う万能ハサミを完成させた。 ●ココで差がつく！ 切るものをしっかりとはさみ込むギザ刃を採用。 大きなハンドルと短めの刃はテコの原理によって力を伝達しやすい構造になっており、金属やカーペットなど硬い物から柔らかい物まで、ラクに切れる。

PC作業時の負担も軽減するA4サイズのツールボックス

キングジム『ノッテオン』キングジム『ノッテオン』7975円

フリーアドレスワーカー向けツールボックスにPCスタンド機能を付与した2WAYモデル。スタンド部は14インチまでのノートPCに対応し、高さ調節は4段階。収納部はA4の書類が入るサイズで筆記具や小物もひとまとめにできる。

同社初ジャンルの商品でありながら市場開拓に手ごたえ

　テレワークやフリーアドレスの普及によって、ワークツールを取り巻く環境は大きく変わった。持ち運びやすさが重視されるようになり、PCスタンドのニーズも高まっているのだ。 　この2つのニーズを合体させたキングジムの『ノッテオン』がヒットしている。本品の開発を担当した電子文具開発部デジタルプロダクツ課の小島沙織さんの狙いはこうだ。 「社内移動バッグのように仕事道具を収納・運搬するツールに、PCスタンド機能をプラスすることで、限られたスペースでも快適な仕事空間を作り出せるのではないか、と考えたのです。 14インチのノートPCが載るほどの大きな樹脂成形品を作ること自体が、これまでにないチャレンジでした」 　開発に約2年を要したという。 「反りがないまっすぐな形状に成形するのが難しく、納得いく品質に到達するまでに時間がかかりましたね（笑）。シームレスなオフィス環境で本製品を活用すれば、仕事にメリハリが生まれることを感じていただけるはずです」 キングジム『ノッテオン』付属のハンドルを使えば、片手で持ち運びできるので便利。必要な道具を一気に持ち運べるのでフリーアドレスのオフィスでも重宝する。 ●』ココで差がつく！ 収納ボックス時はA4のファイルボックスとほぼ同じ大きさなので、書棚などに置きやすく、整理整頓しやすい。サイドにケーブルを通す穴があり、ノートPCを収納したまま充電ができる。 後編では、作業効率がアップするヒット文房具を4点紹介していく。 取材・文／金山 靖、渡辺和博 ※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2024年8月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。