【赤裸々に語る】『全てを彼から学んだ』元検事正からの性加害を訴える女性検事が激白「正直言って憤り」検察庁の対応に「職員を守る気がない」(単独インタビュー全文掲載=前編=)
■女性検事が語る「私だけでなく本当にたくさんの方が苦しんでる」「性犯罪は人に言えない被害」
Q(記者) 報道機関の取材に応じ声を上げる、発信しようというエネルギーはどういったお気持ちから? A(女性検事) 性犯罪被害というのは、人に言えない被害ですので、私だけでなく本当にたくさん苦しんでいる方々がいらっしゃると思う。誰にも言えずに、一人で傷を抱えて苦しみ続けている人がたくさんいることを知っているので、私の話をこうやって発信させていただくことで、「苦しんでいるのは自分だけじゃない」「あなたは一人じゃない」ということをお伝えしたいという気持ちがまずあります。 そしてこの度、私の事件で北川被告が「同意があったと思っていた」というような主張をして否認に転じていますけれども、こういう主張というのは、こういう性犯罪事件において加害者がよく使う主張ですが、こういう主張自体がまかり通ってはならないと思っていて、そういう意味では性犯罪の法律の解釈などを正しく皆さんに知っていただくことによって、性犯罪を撲滅していきたいという思いもあるし、正しい理解をしてもらうことによって性犯罪をしないというふうになってもらえたらなという、一被害者の気持ちからでもあります。 最後は、自分が検察職員という立場でもありますので、捜査や裁判は検察庁に委ねなければならないところが大きいですから、検察庁に対して適正な捜査や裁判をしてほしい、一緒に戦ってほしいという思いがありますし、また職員として今、検察庁内で被害が起きていますから、それで私は職場に戻れないわけで、職場に戻るための安全な職場環境を整えてほしいということを訴えたいためにこのように発信をしております。
■被害を公にするまで5年あまり…検察庁から当初「他には言うな」
Q 10月の初公判の後、初めて会見で発信し始じめてから、今感じていることや、心境に変化はある? A 私は、この被害を公にするまでに5年あまりかかっています。被害を知っているのは、ごくわずかな方にしか打ち明けていませんでしたし、被害申告した後もごくわずかな人にしか打ち明けていません。なぜかというと、自分が被害を受けたことを知られたくないという気持ちから話していなかったですし、また、大事な捜査情報でもあるので捜査に支障があってはいけないからということで、検察庁から「他に言うな」というふうに言われていたのもあったので、打ち明けられずにずっときていることもありました。 起訴していただいて復帰して、女性副検事が、私が被害者だということを吹聴したり、『虚偽告訴』だというふうに言いふらしたりしているという二次被害があったことを知って、私が知られたくなかった私が性被害を受けた被害者だということまで広く知られてしまって、すごくショックを受けているし、虚偽告訴だということも言われて、すごく傷ついています。 そういうことを初公判の会見後にお伝えしたことで、本当にたくさんの人たちが面識のない私に対して、「私たちが共に戦う、共にいます、最後まであなたと一緒に戦っていきます」というふうに、たくさんメッセージを寄せてくださって、それがいろいろ混ぜると300件以上になっていまして、皆さんが他人事ではなく自分事のようにこの件を受け止めて、性犯罪をなくさなければならないという思いに駆られてメッセージを投げてくれているということに、すごくありがたいし、励まされています。 Q たくさん同じ悩みを抱えてきた人や同じように苦しんでいる人が、これだけたくさんいるという表れでもある? A 中には性犯罪被害を受けた当事者の方もいらっしゃいましたし、メッセージを寄せてくれた方の中にはそういう当事者の方もいらっしゃって、声を上げられなくて苦しんできたという方もいれば、声を上げても理解不足な司法関係者によって適切に処罰してもらえず今も苦しんでいるという方もいらっしゃったし、その被害者を支援している弁護士さんや心理士さんや被害者団体の方からも多数メッセージを寄せられていて、「このままでは被害者が傷つけられて終わってしまうということに危機感を抱いている」と。 ましてや法律を熟知している検事正であった北川被告がこのような不合理な弁解をして無実を主張するような事態がまかり通っては、世の中の性犯罪被害者は泣き寝入りするしかなくなるという危機感を抱いているので、正しく裁判してもらえるように正しい知識を広めていこうというふうに私は思っているが、それに共感してくださる方がたくさんいて、だから皆さんが本当に危機感を持って一緒に戦ってくださっていると思います。