【楽天】東北に再び歓喜を…新戦力がもたらす希望 プロ野球12球団担当記者が見た2024年
'96年世代の台頭
2024年、野手では1996年生まれの選手の活躍が目立った。 辰己涼介(28)は打率パ・リーグ2位の.294、158安打で自身初の最多安打を獲得すると、守備では4年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞。10月8日の日本ハム戦で392刺殺を達成し外野手シーズン刺殺数プロ野球記録を塗り替えるなど、記録と記憶に残る活躍を見せた。 辰己と同じ'96年世代の小郷裕哉(28)は開幕からレギュラーに定着すると、12球団唯一の全試合フルイニング出場を達成。 打撃面では145安打、32盗塁でともにパ・リーグ2位の成績を残した。 プロ7年目の2025年は「自分がチームを引っ張っていく気持ちで、去年以上の成績を出せるように頑張りたい」と自身初のタイトル獲得を視野に、チームの先頭に立つ覚悟を見せた。
リベンジを誓う主砲・浅村栄斗
「もう1度這い上がれるように、リベンジしたい」。2025年にかける強い思いを明かしてくれた浅村栄斗(34)。 2024年、期待された打撃では3年ぶりに20本塁打に届かず、打点も楽天に移籍後最少となる60打点。「何もできなかった」と自身が振り返るほど悔しいシーズンになった。 今江前監督からの提案でより打撃に専念できるようにと、守備位置をサードに変え臨んだ1年だった。 「当然不安はあった。最初のほうはバッティングよりも守備のことを考えていた。でもそれを言い訳にはしたくない。そこで結果を出せなかった自分の力不足」。 チームへの思いが強いからこそ受けたコンバート。しかし、思うような結果が出せずもがき苦しんだ。それでも、「この1年があったから良かったと思えるように、浅村ってこういう選手ってもう一度思ってもらえるように復活したい」とリベンジを誓った。
セーブ王・則本昂大
2024年の楽天を振り返る上で欠かせないのが則本昂大(34)の存在だ。 不動の守護神だった松井裕樹のメジャーリーグ移籍に伴い、2023年まで先発として通算114勝を挙げていたエースが、守護神の座を任されることになった。 「自分が監督でも、その決断をしたと思う」。そう話した則本は、54試合に登板しパ・リーグトップの32セーブを達成。抑え転向1年目にしてセーブ王のタイトル獲得という快挙を成し遂げた。 そんな則本から「僕、本当にイーグルスが好きなんですよ」と本音が聞けたのは12月のことだった。 シーズン終了後、新体制でスタートした秋季練習中に三木新監督と話をしたという。 「抑えを続けるか先発に戻りたいか、自分の気持ちを聞かれました」。三木監督は一人一人との対話を大事にしている。その中で、まず則本自身の気持ちを確認した。 「聞かれれば抑えをやりたい。でもチームのためならどんなポジションでもやります」。則本は迷わず答えた。チームを強くしたい、求められることはなんでもやりたい。そんな強い覚悟からだった。 「見返りを求めるんじゃなく、チームのために尽くすだけ」。屈託のない笑顔で話す則本。2025年も最終回のマウンドに立ち続ける。