【楽天】東北に再び歓喜を…新戦力がもたらす希望 プロ野球12球団担当記者が見た2024年
投打に浮き出た課題
2024年の戦いを振り返ると突出していたのが、パ・リーグトップのチーム犠打数126。成功率も高く、手堅い攻撃をしていた。 その一方で強みである機動力を生かすことができなかった。 チームには2023年の盗塁王・小深田大翔(29)や2024年リーグ2位の32盗塁を決めた小郷裕哉(28)など足を使える選手が多くいる。しかし序盤にミスが響くと、その後はエンドランなどランナーを動かしながらの攻撃が少なくなり、攻撃面でバリエーションを増やすことができなかった。 チーム内の本塁打数トップが浅村の14本と長打力が乏しい中、機動力を存分に生かせなかったのは大きな痛手となった。 そして、大きな課題となったのが投手陣。 「ピッチャー陣の底上げが一番の課題」と今江前監督が振り返ったように、防御率は3.73で3年連続パ・リーグ最下位。5月のソフトバンク戦では21失点をするなど、失点数も12球団ワーストの579と投手力の弱さが露呈した。 大量失点が目立った一方で、点差別の勝敗を見ると3点差以内の試合では全て勝ち越し。接戦を勝ち切る底力は備わってきた。
成長を感じた2人の左腕
先発陣では初めて開幕投手を務めた早川隆久(26)が、球団左腕初の2桁となる11勝。自身初の規定投球回にも達し、エース級の活躍でチームをけん引。 しかし、「9月以降、自分の投球ができる試合が圧倒的に少なかった」と言う。「CSを争う中で、勝ちにフォーカスした時に余裕が持てなかった」と正念場での戦いに課題を感じていた。 自身の課題を冷静に見極め、次なるステップへと踏み出そうとしている早川。「まだまだできると自負しているので、もっとレベルアップしたい」と成長を誓った。 プロ4年目を迎えた藤井聖(28)は、4月から先発ローテーション入りを果たすと、交流戦では12球団トップタイの3勝を挙げ初優勝に大きく貢献。1年間、先発ローテーションを守り早川と並ぶ11勝をマークした。 それまで過去2年間で通算4勝だった藤井が、大きく飛躍した要因の一つに併殺打の多さが挙げられる。 自身も「課題だったコントロールが安定してきた」と手応えを感じ、走者を出しても粘り強い投球を見せる藤井の姿にチームメートの則本は、「低めに集める能力がかなりある。だからこそゲッツーが増えているし、自分の勝ち方を掴んだのかな。1試合1試合にかける思いも感じるし、かなり成長している」と太鼓判を押す。