息子が浮かばれません…孤独死した44歳息子の葬儀代95万円まで出し渋る元妻の仕打ちに〈69歳母〉唖然。さらに発覚した〈まさかの事態〉に絶望したワケ【行政書士の助言】
子供たちに会えないままだった息子
当時、元妻は有起哉さんの遺産がいくらなのか。正確な金額を知らなかったでしょう。それでも(死亡)退職金、生命保険、そして自宅を合わせれば、かなりの金額になることは予想できたはずです。実際のところ、資産から負債を差し引いた金額は2,529万円。 しかも、有起哉さんは住宅ローンを組んだ銀行で団体信用生命保険(=団信)に加入しています。団信とは債務者(有起哉さん)が途中で亡くなった場合、その時点のローン残債と同額の保険金が支給されるものです。そして保険金は優先的にローン返済(逝去時は2,270万円)に充てられます。 つまり、自宅はローンなしの状態で二人の子どもが相続するのです。そう考えると住宅ローンは負債から削除することができ、遺産の価値は4,799万円まで膨れ上がります。 一方、美紀子さんの請求額はわずか95万円です。筆者は「95万円を渋って、4,799万円の受取が遅れるのでは本末転倒ですよ」と励ましました。最終的には美紀子さんの必死の訴えが通り、元妻は遺産相続が終わったタイミングで95万円を返すことを約束したのです。 美紀子さんはその約束を信用し、元妻に通帳や証書、権利証などを引き渡したのです。美紀子さんが元妻に会ったのは実に9年ぶりでした。そこで元妻は「彼(有起哉さん)のことなんて覚えていませんよ。一度も会わせていないんだから」と捨て台詞を吐いたのです。有起哉さんが「会わせてほしい」と頼んでも元妻は無視し続けたことが明らかになりました。つまり、有起哉さんは何の報いもなく、毎月9万円を負担し続けたのです。 有起哉さんのように離婚歴がある男性が亡くなった場合、相続人ではない人間が喪主をつとめることがあります。その場合、葬儀等の費用をめぐってトラブルが起こる可能性があります。そのことは前もって知っておいたほうが良いでしょう。 露木 幸彦 露木行政書士事務所 行政書士・ファイナンシャルプランナー