息子が浮かばれません…孤独死した44歳息子の葬儀代95万円まで出し渋る元妻の仕打ちに〈69歳母〉唖然。さらに発覚した〈まさかの事態〉に絶望したワケ【行政書士の助言】
近年社会問題として取り上げられている「孤独死」ですが、離婚歴がある人物が亡くなった際に、相続人以外の人物が喪主を務める場合があります。本記事では、その場合に起こり得る葬儀等の費用をめぐったトラブルについて、行政書士の露木幸彦氏が桂さんの事例を通して解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
一体、なぜ? 突然亡くなった44歳の息子
突然ですが、質問です。1年のうち、最も亡くなる人が多いのは何月だと思いますか? 正解は12月(約15万人。令和4年、厚生労働省の人口動態統計)です。逆に最も少ないのは6月(約11万人)。朝晩が冷え始める11月(約13万人)から増加していき、1月(約14万人)、2月(約13万人)は高止まりします。 「孤独死」が社会問題として取り上げられて久しいですが、警察庁によると今年1~3月に「自宅で」「一人」で亡くなった人は、3ヵ月で約2万人。警察が取り扱ったケースのうち、孤独死が36%を占めています。次に孤独死した人の年齢ですが、79%は65歳以上のお年寄りです。残りの21%はどのような人なのでしょうか?自分で自分の食事、洗濯、掃除などができない「セルフネグレクト」という言葉が最近、注目を集めています。 今回の相談者・桂美紀子さん(69歳。仮名)の一人息子・有起哉さん(享年44歳)もその一人です。有起哉さんは当時、独り暮らし。美紀子さんが訪ねたところ、すでに息をしておらず、病院に搬送しました。そこで医師が発行した死体検案書には「自殺」と書かれていました。警察庁によると自殺者の数は令和2年から令和5年にかけて約2万1千人で高止まりしています。有起哉さんの身に何があったのでしょうか? なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また離婚の経緯や養育費の条件、遺体発見の経緯や遺産の金額などは各々のケースで異なるので、あくまで参考程度に考えてください。
結婚5年目に離婚、家の名義はそのまま家を出た有起哉さん
<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は相談時)> 母:桂美紀子(69歳)→パートタイマー(年収90万円)☆今回の相談者 息子:桂有起哉(享年44歳)→会社員(年収800万円) 息子の元妻:天野愛海(42歳) 息子の長男:天野栄斗(12歳) 息子の次男:天野陸斗(10歳) <有起哉さんの遺産の詳細> 1.資産(計4,912万円) 死亡退職金798万円 預貯金48万円 生命保険1,500万円(死亡保障、受取人は元妻) 不動産2,480万円 自動車86万円 2.負債(2,383万円) 住宅ローン2,270万円(ただし団体信用生命保険と相殺) 自動車ローン32万円 カードローン81万円 有起哉さんは新卒から22年間、同じ会社で汗を流しましたが、2ヵ月前から休職中。直属の上司は「一人になってから精神的にまいっている様子でした。まさかこんなことになるなんて…僕らももう少し、何かしてあげられれば」と後悔の念を口にします。 筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして離婚の手続をお手伝いしています。有起哉さんは妻、そして二人の息子とマイホームに暮らしていたのですが、結婚5年目に離婚。有起哉さんは妻子を残し、家を出たのです。家の所有権、住宅ローンの債務者は有起哉さんのまま。自宅は、有起哉さんの母方の祖父が頭金300万円を出した家でした。その自宅を妻に明け渡し、有起哉さんは家を出ました。 子の養育費代わりにローンを毎月9万円、返済すると約束しました。筆者はその約束を公正証書に残す手続をお手伝いしたのですが、離婚してから7年間。有起哉さんは実家の敷居をまたがなかったそう。 美紀子さんが「最近、どう?」「話を聞いてあげるからご飯でもどう?」「今度のお正月は返ってくるの?」とLINEで何度、問いかけても、有起哉さんは「了解!」「分かったから!」「はいはい!」というスタンプを返すだけ。美紀子さんが有起哉さんの死後に遺品整理のために訪れた部屋は片付けはおろか掃除もろくにされておらず、“汚部屋”と呼ばれるような状態でした。有起哉さんも冒頭でご紹介したようなセルフネグレクトの状態だったと想像できます。