「足が止まるくらいの凄まじい風で…」24年前の箱根駅伝 強風が生んだ波乱の“三つ巴の5区” 持ちタイム最下位だった「雑草ランナー」が大激走のワケ
予想外だった法大・大村の「粘り」
最高点を超えて入った下りの勢いを利用して、大村が奥田を突き放す。するとその差はあっという間に30m近くになった。 実はこの時、奥田の足には異変が起こっていた。レース後のテレビ取材で奥田はこう振り返っている。 「上りでの疲労に加えて、強風で足が冷やされて足がつりそうになってしまって。もしつってしまったら止まってしまうので、まずはゴールまで行くことを優先してペースを上げられなかったんです」 順大は、この年の総合優勝を狙う大本命のチームでもある。一方の法大は、あくまでダークホースのチームだ。ここで無理をして大ブレーキを起こすリスクを背負うよりは、少しでもダメージを小さくすればいい。その奥田の判断は、チーム力の高さゆえでもあった。 とはいえ誰もが予想しなかった雑草ランナーの猛スパートは、法大70年ぶりとなる往路優勝という、番狂わせの予感すら漂わせ始めていた。 決死のスパートを仕掛け続ける大村の視界に、芦ノ湖が飛び込んできた。 「この坂を下りきって、平地をしのげば往路優勝――」 そんなことを考えながらふと大村の頭に浮かんできたのは、今年のチームメイトたちの姿と、半年前の「ある出来事」だった。 <次回へつづく>
(「箱根駅伝PRESS」山崎ダイ = 文)
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