「2型糖尿病」はマウスウォッシュによる“うがい”で改善できる 大阪大学の研究結果
大阪大学の研究グループは、「2型糖尿病患者がクロルヘキシジンを配合したマウスウォッシュを用いてうがいをすると、歯周病菌が減少するとともに、血糖コントロール状態が改善することを明らかにした」と発表しました。この内容について中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
大阪大学が発表した研究内容とは?
編集部: 大阪大学による研究グループが発表した研究内容について教えてください。 中路先生: 今回紹介する研究は、大阪大学らの研究グループが実施したもので、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されています。 歯周病に罹患(りかん)することで糖尿病にも悪影響が出ることが明らかになっており、歯科医院で治療を受けることで歯周病の改善だけでなく、糖尿病患者の血糖コントロール状態も改善することが報告されています。研究グループは、クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいをすることで、歯周病菌種数と血糖値がどのように変化するのかを調べました。研究対象となったのは大阪府内の糖尿病クリニックを受診中の2型糖尿病患者173人です。 研究の結果、クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいをすると、口腔内に存在する悪性度の高い歯周病菌種が減少したことが判明しました。さらに、研究対象となった2型糖尿病患者のうち、比較的若い人については、血糖コントロール状態が改善することも明らかになりました。 研究グループは今回の研究成果について、「歯科医院でのプロフェッショナルケアに加えて、クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いたうがいを積極的に日常の口腔ケアに取り入れることで、歯周病の改善だけでなく歯周病によって惹起される血糖値上昇の改善にもつながることが期待される」とコメントしています。
2型糖尿病とは?
編集部: 今回の研究対象となった2型糖尿病について教えてください。 中路先生: 2型糖尿病は、糖尿病の中でも患者数が最も多いタイプです。遺伝的な理由によるインスリン分泌の能力低下に加えて、生活習慣の悪化に伴うインスリン抵抗性が起こり、インスリンが相対的に不足した場合に発症します。 一般的に生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病ですが、インスリン分泌の能力低下が鍵を握ります。生活習慣が乱れることだけではなく、2型糖尿病患者は糖尿病になりやすい遺伝的な理由を持っているとも言えます。ゲノム解析では2型糖尿病の要因となる多くの遺伝子が報告されており、中でも「KCNQ1」という遺伝子は、日本人の2型糖尿病発症に強く関連していることが分かっています。 2型糖尿病の治療方法は、インスリン療法やインスリン以外の薬物療法、GLP-1受容体作動薬という注射薬などです。