山下美夢有を阻んだ米ツアー未勝利の2人 リン・シユは涙の銅メダル
◇パリ五輪 女子 最終日(10日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇6374yd(パー72) 【画像】メダリスト3人が表彰台でお決まりの… ともに米ツアー未勝利のエスター・ヘンゼライト(ドイツ)が銀メダル、リン・シユ(中国)が銅メダルを獲得した。
ヘンゼライトは7打差13位からこの日2番目となる「66」をマーク。10番までに5バーディを重ねて停滞する首位に迫ると、上がり2連続バーディ。通算8アンダーでホールアウトして後続を待つ間もプレーオフの可能性に備えて練習するそぶりもなく、クラブハウスでキャディを務めた婚約者のリース・フィリップスさんと笑顔でテレビ中継画面の前に座った。 「最後の2ホールで絶対に失敗しない選手がいる。リディアは間違いなく、その一人。私はただ座って銀メダルを楽しんでいるだけで、ちょっと幸せだったわ」。首位で最終組を回るリディア・コー(ニュージーランド)が落とせばプレーオフの可能性もある中、ライバルへの“信頼”。ドキドキなはずの時間でも笑顔を絶やさなかった理由だ。2016年リオデジャネイロ五輪でのゴルフ競技の112年ぶりの復活以降、女子初の欧州出身のメダリストとなった。
リンは最終18番(パー5)のバーディ締めで山下美夢有をはじめ、4人が並ぶ4位を1打差で振り切った。世界ランキングでトップ10に食い込んだこともある実力者ながら、米ツアータイトルが届きそうで届かない28歳。パリに飛び立つ前にはリオでともに中国代表として出場し、銅メダルを獲得したフォン・シャンシャンと連絡を取ったという。
今季のプレーぶりも踏まえて不安を打ち明けると、「何をもって満足すると思う?」と聞かれた。2人で“とにかくメダルを獲ること”にゴールを設定。「彼女がリオで銅メダルを獲得するために何をしたのかを考えた。オリンピックの1週間を本当に楽しんでいたように感じたし、みんなに微笑みかけ、声援を送ってくれたファンに手を振っていた」。8年前の記憶をたどり、同じ色のメダルをつかんだ。ホールアウト後、プレーオフまでもつれる可能性もある中で涙が止まらず、「フォン・シャンシャンのおかげ」と先輩への感謝も口にした。(フランス・ギュイヤンクール/亀山泰宏)