謎に包まれた戦国の刀工「高天神鍛冶」の秘密に迫ってみた!【掛川】
静岡・掛川市の大東図書館では戦国時代につくられた2つの槍(やり)を見ることができます。近くにある山城「高天神城」ゆかりの刀工がつくったとされていて、刀鍛冶が住んだ場所も残っているのだとか。さっそく、現地へ向かいました! 【画像】刻まれた特徴的な「高天神」の文字など(画像25枚)
◆「高天神鍛冶」がつくった2つの槍
戦国の時代、今川と武田、あるいは武田と徳川が激しい攻防を繰り返した高天神城。その乱世の激戦地に刀剣を提供していたのが高天神鍛冶です。しかし、高天神鍛冶の存在は文献にはあっても、現存する刀剣は少なく謎に包まれています。少しでも真相に迫ろうと取材を始めました。 東名・掛川ICより車で南へ約20分のところに大東図書館はあります。1階は図書スペースになっていて、刀剣があるのは2階の常設展示室「郷土ゆかりの部屋」です。 正面玄関を入り、右側にある階段を登ると「郷土ゆかりの部屋」の看板が目に入ります。部屋の中には高天神城にまつわる展示以外にも郷土の偉人、遠州国学、古墳に関しての展示があります。 順々に進んでいくと、高天神城のことについて書かれたパネルがありました。すぐにその下へ目を向けると、2つの槍が展示されています。 大東図書館によると2つの槍は、掛川市が合併する前の旧大東町の時代に町が購入したそうです。つくったのはかつて高天神城下に移り住んだ刀工「高天神兼明(たかてんじんかねあき)」。 この槍について詳しく分かるかもしれないと紹介してもらったのは、掛川市に合併する前の旧大東町で文化財を担当する職員だった鬼沢勝人さんでした。 鬼沢勝人さん: はっきりとした時期はわかりませんが、2つの槍を大東町が購入したのは昭和63年から平成2年頃だと思います。何代かいたとされる兼明のうち、何代目の作か調べきれていませんが、それぞれ鑑定にも出し鑑定書もあります 展示されている槍の鑑定書には「槍 銘 高天神 兼明」と書かれています。銘とは刀の作り手が自らの名前を刻んだものです。長さは六寸六分とあり、約20cmです。 下の大きな槍の鑑定書にも「大身槍(おおみやり)銘 高天神 兼明」とあります。長さは二尺一寸、約63cmです。大身槍とは槍の刀身の部分が約60cm強ある槍のことです。