『光る君へ』ドラマでは描かれなかった藤原道長の壮絶な最期、四納言や道綱はどのように人生の終わりを迎えたのか?
『源氏物語』の作者、紫式部を主人公にした『光る君へ』が、いよいよ最終回を迎えた。NHK大河ドラマでは、初めて平安中期の貴族社会を舞台に選ぶという意欲作となった。最終回の第48回「物語の先に」では、まひろ(紫式部)が倫子から藤原道長との関係を問いただされ、2人のこれまでのことを打ち明けた。一方、道長は病状が悪化して死期を悟ることになるが……。『偉人名言迷言事典』など紫式部を取り上げた著作もある、偉人研究家の真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部) 【写真】『光る君へ』ロスの声も…紫式部を演じた吉高由里子さんと父、為時を演じた岸谷五朗さんのツーショット ■ 夫だけでなく娘もまひろに奪われた倫子の切ない心情 ドラマはシナリオが巧みなものほど、つい主人公の目線で出来事を捉えてしまうものだ。自然と主人公に感情移入してしまうからである。 最終回の前の放送では、あまりの急展開に驚かされた。藤原道長の妻・倫子がまひろ(紫式部)にこう問いただした。 「それで……あなたと殿の仲はいつからなの。私が気付いていないとでも思っていた?」 視聴者も1週間、まひろの気持ちになって、どう答えるか考えたことだろう。そして多くの人が「幼い頃から出会っていたことを話す」という選択肢をとったのではないだろうか。事実、まひろもそうした。 なにしろ、まひろの方が倫子より先に道長と出会い、先に恋愛関係になっていたのだから。むしろ、後から入ってきたのは倫子の方で……。 いや、よそう。これは明らかにまひろ側の風景に過ぎない。倫子からすれば、夫と関係を持ったということだけではなく、それがはるか昔からのことで、そのことをずっと黙って、娘の彰子(あきこ)と極めて良好な関係を築いてきたことへのショックがあった。倫子のこんな切ないセリフを聞いて、状況的に当然抱く心情に気付かされた。 「彰子は知っているの? あなたは、どういう気持ちであの子のそばにいたの? 何も知らずに、あの子はあなたに心を開いていたのね。あなたは本心を隠したまま、あの子の心に分け入り、私からあの子を奪っていったのね。私たち、あなたの手の平の上で転がされていたのかしら」 このセリフが秀逸なのが、『紫式部日記』を読んでも、実際に道長の娘・彰子と、紫式部は心を許し合う関係だったということだ。