魅力的な最新「走る家」 フォルクスワーゲン T7カリフォルニア へ試乗 長年の経験が活きた空間
欧州の定番キャンパー、カリフォルニア
欧州のキャンピングカーと聞けば、フォルクスワーゲン・カリフォルニアが真っ先に思い浮かぶという読者は少なくないだろう。その起源は、1950年代のフォルクスワーゲン・タイプ2へ遡る。アイコニックな存在と歴史の長さを考えれば、当然かもしれない。 【写真】長年の経験が活きた空間 フォルクスワーゲン T7カリフォルニア VクラスとID.バズも (112枚) 2024年に登場した最新のT7カリフォルニアは、ロングホイールベースのT7マルチバンがベース。全長は5173mmあり、ホイールベースは先代より269mm長く、そのぶん車内空間も広がっている。 英国仕様のパワートレインには、通常のマルチバンと同等の選択肢が用意される。1.5L 4気筒ターボエンジンのプラグイン・ハイブリッドも選べる。システム合計で245psを発揮し、四輪駆動だから、走りはかなり頼もしく感じられるだろう。 電気だけで、最長90km走れる能力も魅力的。遠くを目指す車中旅行では余り意味はないかもしれないが、燃費やCO2の排出量を多少でも改善できる。駆動用バッテリーという電源も、役に立つはず。 電動化技術の載らない、203psの2.0L 4気筒ガソリンターボエンジンは上質で滑らか。しかし、マルチバンでも燃費は伸びにくい。装備が増え重いカリフォルニアの場合は、150psを発揮する2.0L 4気筒ディーゼルターボの方が好適といえる。
長年の経験が活きた車内 両側にスライドドア
ディーゼルといえども質感は滑らかで、最大トルクは36.7kg-m。複数の人間と沢山の荷物、ミニキッチンやソファーベッドを載せたキャンピングカーを、力強く引っ張れる。 今回の試乗ではグレートブリテン島の丘陵地帯を駆け回ったが、力不足は感じなかった。唯一、7速デュアルクラッチATの反応の鈍さが気になった程度だ。 広い車内は、長年キャンピングカーを作ってきた、フォルクスワーゲンの経験が活かされている。現在のキャンプ事情にも、しっかり応えている。 例えば、大きな冷蔵庫やキッチン設備は不要だという声を受け、新しいカリフォルニアでは小型化。リア側のサイドへまとめられ、より余裕ある空間が確保されている。その結果、歴代で初めて、両側のスライドドアが開放できるようになった。 オプションだが、巻取り式のオーニングを両側に装備できる。これを展開すれば、車外にも陽光と雨をしのげる大空間を生み出せる。 走行中でも駐車中でも、車内では大人4名が快適に過ごせる。ポップアップルーフを立ち上げれば、身長の高い人でも普通に立って歩くことが可能。リアシートを折りたたみ、ポップアップルーフのフロアを出せば、充分な大きさのベッドが2つ作れる。 ベッドの展開は多少面倒だが、数日程度なら快適に過ごせるはず。引き出しや小物入れなどが随所にあり、収納に困ることもない。