「大学の中に入ってもいいの?」 キャンパスが進化し、地域の子どもや企業が気軽に利用
地元の小学生にも研究を説明
大阪いばらきキャンパスの新棟・H棟には、先進施設が多くあります。映像学部の教室であり、多次元サウンドを体験できる空間オーディオテクノロジーを備えたシアター教室、タッチパネルを含む70以上のディスプレーを備えたホール(Learning Infinity Hall)、オンライン学習を行うための学習空間(Connected Learning Commons)などです。これだけ「ハード」の部分に力を入れたのは、最も重要な「ソフト」である教育と地域の拠点としてのレベルを高めるためです。 「Learning Infinity Hallには6人が座れるデスクが38あり、ハウリングが防止されているので、38のオンライン会議を同時に立ち上げることが可能です。教員のアイデアで、各卓からアンケートを取れるサイドモニターも備えました。先日はこの部屋に市民と学生が集まり、世界各国とつないで双方向の講義を行いました」 1階には地域の人々などが入ることのできるエリアが設けられ、研究成果を見せるショールームの役割も果たしています。小学生が放課後に遊びに来て、展示物などを見ながら学生に「これ何?」と尋ねることもあるそうです。 「子どもにもわかるやさしい言葉で自分の研究内容を説明することは、学生にとってもいい経験になるでしょう。また、お母さんが小学生の子どもと一緒に来て、『ここに来たら、こんなお勉強ができるんだよ。頑張りな!』とわが子に声をかけているのを見たことがあります」
こうした親しみやすい「わが街の大学」は、一朝一夕に実現したものではありません。15年の大阪いばらきキャンパス開設時、地域・社会連携を目的としたイベントを開催した際には、市民の参加者は5000人ほどにとどまりました。 「やはり『大学の中って入っていいの?』という躊躇(ちゅうちょ)があったようです。長年の地道なアピールはもちろん、中の様子がよく見えるガラス張りの校舎も功を奏したのでしょう。24年5月のイベントには、約2万3000人が来場しました。『立命館大学は一般人が行ってもいいらしい』という評判が広まり、茨木市だけでなく、北摂一帯から多くの方が足を運んでくれています」