「私がミニスカートをはいても、ニューストピックにならない世の中になってほしい」 “渋谷系の女王”野宮真貴さんが語る音楽と人生の「昨日・今日・明日」 「渋谷半世紀」~若者の聖地の今~
81年の野宮さんのソロデビューアルバムにあった佐藤奈々子さんの曲を、ピチカートが当時最新のサンプリングを駆使してモダンによみがえらせた「トゥイギー・トゥイギー」もお気に入りだという。ロバート・アルトマン監督の「プレタポルテ」(1994年)、劇場版「チャーリーズ・エンジェル」(2000年)などのメジャーな外国映画でも使われたことで知られる。 ピチカートは米国、パリ、ロンドン、イタリア、スペイン、そしてロシアまで、海外でも多くのツアーを行っていた。「感度の高いゲイの方たち、クリエーター、またクラブキッズたちに支持されていた」「不思議なことに、当時は全世界“渋谷系”化という現象が起こっていたと思う。音楽の趣味、風貌、おしゃれのセンスも小西さんに似ている人が各国に必ずいて、渋谷系という言葉が世界中で通じた。今も通じると思いますけどね」と話す。 「残念なことに、東京の渋谷系の間では横のつながりが当時はなかったのね。でも、小山田さんは『ボサ・ノヴァ2001』をプロデュースしてくれた。ピチカート以外で渋谷系のこの一曲といえば、やっぱり小沢健二さんとスチャダラパーの『今夜はブギー・バック』を挙げるかな」 ▽好きなことを貫き通す
ピチカート解散後の2001年からは、エディターの川勝正幸さんがプロデューサーとなり、ソロのキャリアが始まった。高野寛さんら音楽面でのプロデューサーも加わった。「新たな人たちと一緒にアルバムを作り、シアトリカル(演劇的)なリサイタルにも挑戦してきた」という。 「2010年代に入ってからは毎年ビルボードライブで『野宮真貴、渋谷系を歌う。』シリーズというのを続けている」。デビュー30周年にソロアルバム「30」を出した時に、10年間封印していたピチカートの歌をセルフカバーした。ミュージシャン大瀧詠一さんの「迷ったら墓参り(前に進む時にはまず原点に返れ)」という名言を思い出し、「解散してから10年、改めてピチカートを歌ってみて、本当に良い楽曲が渋谷系とそのルーツにいっぱいあると気が付き、歌手としてそれを歌い継いでいくのが私の使命じゃないかと思った」。 2022年は元ピチカートの高浪さん、鈴木慶一さん、横山剣さんらの同世代だけでなく、野宮さんの子どもと同じ世代でもあるロックユニット「グリム・スパンキー」の松尾レミさんらが参加した40周年記念アルバム「New Beautiful」もリリースした。