大阪・関西万博の開催場所、IRの予定地の「夢洲」ってどんな場所?
水鳥が集まり「生物多様性ホットスポット」Aランクに
開発が滞る間、夢洲に目をつけたのは野鳥たちです。コアジサシやシロチドリといった希少な野鳥が繁殖地としてこの島を活用。カモ類などの水鳥も多数集まるようになりました。 このため大阪府は、咲洲にある大阪南港野鳥園とともに、この夢洲を希少な野生動植物が生息・生育して種の多様性が高い「生物多様性ホットスポット」において、最上位のAランクに選定しました。
2023年度からパビリオンなどの建築工事を始める見込み
その後、2014年に当時の橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事らが率いる大阪維新の会が、国際万国博覧会とカジノを含む統合型リゾート(IR)を大阪に誘致する方針を発表しました。 このうち、万博については2018年に誘致が決定。2022年度半ばから整地・インフラ工事を、2023年度からパビリオンなどの建築工事を始める見込みです。 交通機関の整備では、コスモスクエア駅から夢洲の間に地下鉄の北港テクノポート線が新設される予定です。大阪市港湾局によると、筆者が大阪府町咲洲庁舎の展望台から眺めた大型クレーンは、新駅の駅舎工事に使われているとのことでした。 島外の主要駅や空港と会場を結ぶ直通シャトルバスの設置や、海路や空路での会場アクセス整備も検討されています。
一般車両については開催中の島内乗り入れを原則禁止
空路については、大阪府や大阪市、関係事業者らが、電動の垂直離発着機などで空中を移動する「空飛ぶクルマ」の導入実現を目指しています。 なお、一般車両については開催中の島内乗り入れを原則禁止。会場から約15キロ圏内に設置する会場外駐車場でバスに乗り換えて夢洲に向かうパークアンドライド方式を採用するそうです。
大阪府は国に対しIRの区域整備計画を提出
IRについて、大阪府は2022年4月、国に対してIRの区域整備計画を提出しました。 吉村洋文府知事は同月27日の定例会見で「開業は2029年、少し先になりますが、秋から冬ごろを予定しています」として、国による計画認定などが順調に進めば2029年後半に開業、という青写真を描きます。 ただ、万博についてはコロナ禍によるパビリオン出展への影響、IRについては設置の賛否を問う住民投票を求める動きもあるなど懸念点もあります。 今後、万博とIRによって「負の遺産」が「正の遺産」に変わるのかどうか、引き続き注目したいと思います。 (取材・文:具志堅浩二)