「ダンプ松本」が覚醒した1984年 クラッシュブームは頂点に達し、女子プロレスがゴールデンタイムに復活
レコードをリリースし芸能活動も活発のクラッシュは、コンサートも開催。5月1日、中野サンプラザにてファーストライブを行なった。12日にはメキシコに飛んで大会場エル・トレオにクラッシュで登場。その4日後にはクラッシュが大宮スケートセンターでダンプ&ブルとの王座決定戦を制し、WWWA世界タッグ王座を奪回した。また、この大会では、引退のユウがレフェリーに転向した。 「ジャパングランプリ」決勝戦は飛鳥とダンプの闘いとなり、飛鳥が初優勝を飾っている。芸能活動はクラッシュにとどまらず、極悪同盟もメディアから引っ張りだこ。TBSの『夏・体験物語』出演のダンプは、ドラマをはじめバラエティー番組でも人気となった。クラッシュもまた、負けじとTBS系ドラマ『毎度おさわがせします』にレギュラーで出演。さらに、年末にはクラッシュをはじめとする全女の選手たちがミュージカル『ダイナマイト・キッド』の舞台にも立っている。 8月22日には日本武道館大会が実現。敗者引退のかかったビューティーペア対決以来6年ぶりとなる武道館は、クラッシュが先輩レスラーに挑む図式となった。メインはジャガーvs飛鳥のWWWA世界シングル王座、セミがデビルvs長与のオールパシフィック王座戦。飛鳥、長与のどちらもベルト奪取こそならなかったものの、クラッシュ人気ありきの武道館だったことは明らかだ。 そして6日後の8・28大阪城ホールで長与vsダンプの敗者髪切りデスマッチが行なわれ、大方の予想を裏切りダンプが勝利。長与がリング上で丸坊主にされ、大会場が阿鼻叫喚の地獄絵図と化したのである。 ダンプはこの勢いで、「タッグリーグ・ザ・ベスト」も優勝。ブルとのコンビでクラッシュを退けてみせた。この年のMVPは飛鳥が受賞した。 ◆第3回に続く
文/新井宏