「Fラン大という名の大学はない」弁護士が悠仁様の筑波大推薦合格について伝えたい経済と社会の話
少子化を背景とした学習院大学の入試偏差値の下落
この進学について、「本人の希望を尊重する」という秋篠宮家の教育方針が背景にあるとされ、多くの国民から祝福と期待の声が寄せられている。悠仁さまの筑波大学入学について、法理論的視座から野澤隆弁護士に見解を伺った。 ーー学習院大学は私立大学です。国立から私立に転換した珍しい発展過程をたどってきました。対して、筑波大学は国立。現代の皇族にとって、学習院が以前ほど選ばれなくなった理由は何だと思われますか? (野澤弁護士) 秋篠宮文仁殿下と紀子妃殿下は、学習院在学中の出会いをきっかけに結婚されており、眞子さま及び佳子さまも、学習院で初等教育・中等教育を終えています。しかし、悠仁さまの学歴に学習院の名前は一切なく、秋篠宮夫妻を中心とした関係者が、時代背景をふまえ学習院をあえて避けた可能性は相当程度あります。 では、その時代背景とは何でしょうか。いろいろ挙げられるのは当然ですが、やはり一番大きいのは、少子化を背景とした学習院大学の入試偏差値の下落であろうと考えます。女子学生を中心に実学志向がますます高まる中、文系中心で古風な華やかさのイメージが強い学習院は苦戦しており、その結果、眞子さん及び佳子さまが選択した国際基督教大学(ICU)や悠仁さまが入学予定の筑波大学に勝る教育力・ブランド力を維持できず、それらが進学先決定に大きな影響を与えた可能性が高いと思われます。 とはいえ、戦前の学習院には特権的な地位が与えられていましたが、戦後の学習院はあくまで私立の一学校法人にすぎず、国費を優先的に割り当てられているお茶の水女子や筑波といった国立系学校と比較等することは、ご無体、今風に言えば「ムリゲー」であるかもしれません。 ーー皇族教育、華族教育の中心であった学習院の特権的な地位を認めていない現行憲法の天皇制について教えてください。 (野澤隆弁護士) 現行憲法で一番有名な条文は戦争放棄・戦力不保持を定めた9条ですが、その前の1条から8条がすべて天皇制に関する規定であることは一般に意外に知られておらず、規定の基本思想は天皇の権限の制限、つまりは西洋型の民主主義です。