<フィギュアスケート>羽生結弦 金メダルの裏に橋本団長の喝!
フィギュアスケート男子シングルで、日本人として史上初の金メダルに輝いた羽生結弦が、快挙から一夜明けた15日、ソチ五輪公園内にあるジャパンハウスで会見を行った。会見には橋本聖子・ソチ五輪日本選手団団長も出席した。実は、金メダルの影には、その橋本団長の“喝”があった。 羽生と並んで壇上に座った橋本会長が、五輪の難しさについて話していたときだった。隣で神妙な顔をしながら聞いていた羽生が、突然吹き出しそうになって笑った。 「ショートプログラム(SP)が終わったとき、羽生選手に対して私はいつも通りに“今日は良かった。これを2日続けてね”と言いました」 羽生が笑ったのはこのときだ。苦笑いをこらえながら首を振る仕草が、「(違う、そうじゃない)」と言っているような様子。橋本団長は、羽生のリアクションを素早く察知し、「本当はなんと言われたの?」と、羽生にマイクを向けようとした。すると、恐縮した羽生は「いいえ、結構です」と手を振って自ら説明することをやんわり“拒否”。ただ、その目は笑っていた。 実は、橋本団長が羽生に掛けた言葉は、そんな優しい口調ではなく、「2日続けないと、分かってるんだろうな!」というものだったのだ。スピードスケートで冬季4度、自転車で夏季3度、計7度の五輪出場を誇る“鬼団長”は、自らの言葉を口調も含めて壇上で再現。会見場は笑いに包まれた。 スピードスケート選手として鳴らした橋本団長は、根は完全な“体育会系”で、スケート連盟会長として、今までも数々の大会で羽生らを激励してきた。特に出身のスピードスケート陣営に対しては、日ごろから国内大会でふがいない滑りを見せる選手がいたら「こんなんでどうするんだ」と厳しい言葉を積極的に掛けている。 橋本団長の言葉にびびったわけではないが、SPで史上初の100点超えとなる世界最高得点をマークした羽生は、フリーではやや精彩を欠き、「滑り終わったときは金メダルは無理だろうと思った」と話していた。ただ、逆に興味深いのは、この羽生のミスが、パトリック・チャン(カナダ)にプレッシャーを与えたのではないかという橋本団長の見解だ。