『光る君へ』太閤・藤原道長(柄本佑)の最期に視聴者最注目 最終話画面注視データを分析
■なじみのない平安時代の認知度を高めた作品 注目度トップ3以外の見どころとしては、倫子に洗いざらい白状するまひろや、まひろが『源氏物語』の作者とは知らず、物語について熱く語る、後に『更級日記』で歴史に名を残す菅原孝標の娘・ちぐさ(吉柳咲良)が挙げられる。他に隠し事はないと聞かれ、娘・藤原賢子(南沙良)の父についても白状してしまうのではないかとヒヤヒヤした視聴者は多かったのではないだろうか。 当の賢子は母に似ず、恋愛マスターとしての才をいかんなく発揮している。その恋愛巧者ぶりは父とされる道長よりも、まひろの夫・藤原宣孝(佐々木蔵之介)のそれを受け継いでいるように思えるが、本当のことはまひろにしか分からない。 そして、確執を乗り越え、お互いの功績をたたえ笑い合うまひろとききょう(ファーストサマーウイカ)の姿も感慨深いものがあった。また、道長と行成の死を、涙を流しつつひとり『小右記』に書き記す藤原実資(ロバート・秋山竜次)、藤原北家御堂流の権力維持を最優先する太皇太后・藤原彰子(見上愛)も非常に印象的だった。 また、ラストシーンで登場した双寿丸(伊藤健太郎)は、関東で起きた「平忠常の乱」の鎮圧に向かったと思われる。双寿丸を見送ったまひろの「嵐が来るわ」というセリフで光る君へは締めくくられたが、このセリフで終わることは最初から決まっていたそうだから、第1話「約束の月」の開幕シーンでの安倍晴明のセリフ「雨が降るな」と対になっていると考えられる。 最後の最後まで話題に事欠かなかった『光る君へ』だが、現代人にはあまりなじみのなかった平安時代の認知度を高めたという意味で、とても意義のある大河ドラマだったのではないだろうか。来年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』も、これまで取り上げられたことのない江戸時代中期の物語。きっと戦国や幕末にはない魅力に触れられることだろう。 ■ REVISIO 独自開発した人体認識センサー搭載の調査機器を一般家庭のテレビに設置し、「テレビの前にいる人は誰で、その人が画面をきちんと見ているか」がわかる視聴データを取得。広告主・広告会社・放送局など国内累計200社以上のクライアントに視聴分析サービスを提供している。本記事で使用した指標「注目度」は、テレビの前にいる人のうち、画面に視線を向けていた人の割合を表したもので、シーンにくぎづけになっている度合いを示す。
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